最近、ペンス米副大統領の中国に関する演説が中米各界で強い反応を引き起こしている。ペンス氏は演説で上から目線で全方向から中国を非難し、中国の顔に泥を塗った。ペンス氏が中国に着せたい罪を列挙しても、米国が中国を抑圧しようとしている事実を覆い隠すことはできない。演説は一方的で馬鹿げてすらいる論調に満ちていた。その最も典型的なものが、米国の選挙への中国のいわゆる「干渉」に対する不当な非難の繰り返しだ。(文:王棟・北京大学中米人文交流研究基地執行副主任、孫氷岩・北京大学国際関係学院博士課程。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
中国が米国の内政に「干渉」しているとのペンス氏の主張には論拠が2つある。まず、ペンス氏は中国が米国との貿易戦争の中でやむなく打ち出した反撃措置を、米中間選挙への「干渉」行為だと言いなした。ペンス氏は米中西部の農業輸出の盛んな州に対する追加関税は、中国政府として同地域でのトランプ大統領と共和党への支持率を故意に弱める行為であるため、米選挙への「干渉」だと考える。次に、ペンス氏は米国における中国のパブリック・ディプロマシーと人的・文化的交流の活動を、中国が社会レベルから米国民に影響を及ぼし、米有権者を操ろうとするプロパガンダ手段として描写する。
不当な対中非難の背景には、ペンス氏とその保守派の盟友の政治的考えもあれば、米国の現政権と共和党の政治的考えもある。まず、ニューヨーク・タイムズは以前トランプ批判記事を掲載したが、ペンス氏がその「内部告発者」なのではないかと疑う人は多い。ペンス氏は中国を非難することで自らの「忠誠」を示し、「冤罪」を晴らすことができるうえ、「ロシア疑惑」への米国民の視線を中国にそらすこともできる。しかし米国土安全保障長官ですら、中国が米国の選挙に干渉した証拠は見つかっていないと公言している。
次に、ペンス氏が「中国干渉論」をぶち上げたのには、トランプ氏と共和党の政治的利益を守る考えもある。対中貿易戦争が全面的に始まる中、共和党の固定支持層の一部は、米政権が仕掛けた貿易戦争のマイナス効果をすでに感じ始めている。彼らは今年の中間選挙で、政府の貿易政策に反対する可能性が高い。選挙情勢、特に下院選が極めて危うい状況にある中、ペンス氏は貿易戦争の発動を主導したのが明らかな米政府を、果敢に中国に挑み、国民の命を救う勇士として描き、中国がやむなく打ち出した反撃措置を米選挙への「干渉」行為として描いている。ペンス氏の干渉論は白を黒と言い、被害者中国を加害者として描くことで、貿易戦争で打撃を受けた有権者の激しい怒りを中国に転嫁するものだ。
他国への内政干渉を好むのは一体誰か。ペンス氏は新中国成立後の米国による中国への頻繁な内政干渉には一言も触れず、「一つの中国」に対する長年にわたる米国の妨害には一言も触れず、中国と周辺国の領土紛争への米国の干渉には一言も触れず、国内外の反中勢力に対する米国の公然たるまたは秘密裏の支持には一言も触れなかった。最近も米国は台湾への新たな武器売却を整えたばかりだが、「自己正義感」に満ちたペンス氏とその背後の共和党保守派は、他国の内政と主権に対する米国の乱暴な干渉には知らないふりをしている。
演説の最後にペンス氏は中国の文豪・魯迅先生の言葉を引用した。魯迅先生はかつて当時の中国人の一部について、他者と接する際にこびへつらうか、軽視し傲慢に振る舞うかのどちらかであり、真に平等に接することを知らないと批判した。だが皮肉なことに、魯迅先生のこの言葉が今日最も当てはまるのは、まさに共和党保守派自身だ。現政権発足以来、共和党保守派は思考において唯我独尊であり、行動において身勝手で、至るところで圧力を加え、他国の利益を顧みず、自らが意気揚々と歩むことしか考えていない。これはまさしく魯迅先生の批判した、軽視し傲慢に振る舞うことしか知らず、平等に接することを知らない人々ではないのか?ペンス氏とその共和党保守派の友人らが、もし本当に魯迅先生の説いた平等な接し方を自らしたいのなら、中米関係の歴史と現状をよく研究し、近年自国が中国にしてきた全ての行いをよく省察し、見せかけだけではなく真の平等原則を中米関係において貫徹して、中米関係が相互尊重、向き合った協力、互恵・ウィンウィンの健全な軌道に戻るよう確保すべきだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年10月17日