国家科学技術奨励大会が8日、北京で開催され、2018年度国家科学技術賞には計278プロジェクトと7人の科学技術専門家が選出された。ここでは今回の受賞状況と受賞プロジェクトにはどのような新たな特徴があるのか紹介していこう。
■最高賞の賞金が800万元まで引き上げ
2018年は度国家最高科学技術賞の賞金額がこれまでの1人あたり500万元から1人あたり800万元まで引き上げられた。しかもその賞金は全額が受賞者個人に授与された。
国家科学技術奨励活動弁公室の責任者によると、賞金額の調整は国家最高科学技術賞創設から20年近くで初めてのことであり、科学技術関係者に対する党と国の激励と配慮を十分に示す狙いがあるという。
国家最高科学技術賞の賞金基準が調整されたのと同時に、国家自然科学賞と国家技術発明賞、国家科学技術進歩賞の賞金額も一律50%引き上げられた。
■基礎研究の成果が多数
国家自然科学賞は6年間連続で1等賞が選出されており、物理学は再びブレイクスルー的進展を手にしている。清華大学の薛其坤院士のチームは世界で初めて量子異常ホール効果を実験で測定。凝縮系物理学の世界で近年最も重要な発見の1つとされている。材料科学や化学など中国が国際的にリードする学問でもハイライトが多くあった。
■産業技術革新で相次ぐブレイクスルー
従来型産業で理論と技術の革新が続き、産業の高度化を技術面から支えた。例えば中国石油は盆地礫岩油層探査の理論技術体系を初めて構築し、伝統的観念の突破口となり、世界最大の礫岩油田である瑪湖油田(3級石油地質埋蔵量12億4000万トン)を発見した。理論的成果は中国石油化工新疆探査区、トルファン-ハミ盆地などの石油・天然ガス採掘に応用され、石油採掘の新たな可能性を開拓した。
ハイテク・新興産業にも若干の技術的ブレイクスルーが見られた。AIの研究成果は産業化への応用が次第に進んでいる。自動車のスマート化という変革の方向に向けて清華大学の開発した「自動車スマート運転支援システム」は外国による技術独占を打破し、すでに大規模な産業化を実現している。
■民生分野における積極的進展
人々の素晴らしい生活に対するニーズに応え、生態や環境保護、クリーンエネルギーの分野で数多くの成果があった。
農業分野では繁殖用ブタ、食肉用ニワトリ、淡水魚、ホタテ貝などの育種技術、小麦、大豆、キュウリ、梨、菊、コウシンバラなどの新品種育成技術で積極的進展が見られた。衛生・健康分野では新たな脳深部刺激療法(DBS)が29省(直轄市・自治区)に普及し、パーキンソン病の優先的な非薬物治療法となっている。また世界初の遺伝性難聴の遺伝子診断チップがすでに294万人以上の検査に用いられており、早期介入により先天性難聴を軽減している。
■技術革新主体としての企業の地位高まる
国家科学技術賞を受賞する企業がますます増えている。国家科学技術進歩賞の134プロジェクトのうち75%が企業が参加したもので、うち3分の1は企業が先頭に立って完成させたプロジェクトとなっている。科学技術進歩賞の受賞団体のうち企業は全体の47%にあたる303社となっており、民営企業が国有企業を上回った。このように技術革新主体としての企業の地位と主導的役割が著しく高まっている。(編集NA)
「人民網日本語版」2019年1月10日