第7回中米経済貿易ハイレベル協議が今週、ワシントンで行われる。先ほど北京市で終了したばかりの第6回協議では、再び「重要かつ段階的な進展」が得られた。そのため世界は間もなく始まる新たな協議に期待を寄せている。さらに劉鶴副総理が代表団を率いて訪米する前に、トランプ米大統領がツイッターで続けざまに投稿し、現在の中米貿易協議の進展を積極的に評価した。中米関係が多くの複雑かつ厳しい課題に直面するなか、中米経済貿易協議の進展と両国首脳の発言は、積極的な情報を伝えている。(筆者・趙明昊 現代世界研究センター研究員)
米国の3つの勢力が「合流」
今年1月下旬に開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)において、米国のポンペオ国務長官は動画を通じ、出席者に向け談話を発表した。これは中米関係における積極的な変化の「地ならし」となった。中米貿易交渉の先行きを楽観したほか、ポンペオ氏は「2つの大国の衝突は不可避と言われているが、我々はそのように考えておらず、協力の場を見つけることになる」と表明した。
2017年1月の発足以降、トランプ政権は「米国ファースト」の推進に力を入れている。米国の国家安全戦略の重心は「テロ対策」から「大国の競争」に転じた。その「repressive retrenchment」を特徴とする大戦略は、競争の理念を徐々に「競争的戦略」に転じている。これを背景とし、米国は中国を最も重要な、全面的かつ世界的な競争相手にしている。両国の経済貿易関係の調整から着手し、新たな「全政府」対中戦略を形成しようとしている。トランプ政権が中国に示した「全方位競争」の姿勢は、経済貿易関係、地政学、国際秩序、価値観などの各レベルで示されている。米国側は「対等な貿易」「インド太平洋戦略」「台湾カード」などを通じ中国への圧力を拡大し、かつ中国が世界に発展モデルを輸出することで「シャープパワー」を作ろうとしていると喧伝している。
米国の対中戦略の新たな調整の裏側で、対中強硬姿勢を主張する各種勢力の間にある程度の「合流」が生じている。
まず、「レーガン主義派」だ。この勢力は共産主義に対する深い反感を持っており、米国と西側諸国を率いて旧ソ連との冷戦に勝利したレーガン大統領を崇拝している。米国経済の力強い刺激、米国の軍事力の強化を主張している。戦略的ライバルをけん制し、さらには軍備競争の発動をも惜しまず、「パワーによる平和維持」を目指している。代表的な人物は、トランプ氏に対して強い政策の影響力を持つフォックス司会者のショーン・ハニティー氏らだ。
次に、「ポピュリズム派」だ。ホワイトハウス元首席戦略官のスティーブ・バノン氏を代表者とするこの勢力は、「中国はすでに世界で覇権を目指す道を歩んでいる」が、「グローバル化を主張するエリート」は中国と共謀関係を形成し、中国に強硬な姿勢になろうとしないと断言している。米国が直面しているのは「儒家重商主義」がもたらす「文明の衝突」であり、各国のポピュリストは協力し中国に対抗すべきだというのだ。
それから、「穏やかな強硬派」だ。この勢力は過去数十年に渡る米国の中国に対する「接触」政策は、中国を国際体制における「責任ある利害関係者」にしておらず、経済・南中国海・価値観などの問題で中国を日増しに高圧的にしていると考えている。米国は中国に反撃し撃退する必要があるが、中国と戦争に陥ることを回避し、関連問題で中国と限定的な協力を維持すべきとしてる。