「再接触」が現実的な選択肢
上述した各勢力は対中関係を処理する具体的な方針で食い違いを残しているが、米国が自国の対中戦略を深く調整し、着実な措置により中国の台頭を抑制することに賛成している。米国の対中戦略は「ポスト接触時代」に入ったかのようであり、中米関係は新たな苦しい調整に直面する。そのため米国の多くの関係者は、中米関係はもはや過去に戻れなくなったと感じ入っている。
筆者は、中米の現在の新たな構造の前で、この「懐古主義」はもはや必要ないと考えている。中米関係の現実をより良く把握した上で、双方の「再接触」を実現する道筋と方法を積極的に模索することが当面の急務だ。
まず「再接触」は、米国側が対中「接触」の目標を見直すことを意味する。米国の好みと手段により中国を変えるのは非現実的であり、米国側はそのことをよりはっきり認識する必要がある。
次に「再接触」は、米国の対中政策の現実的な選択だ。ランド研究所の関係者が指摘しているように、接触と協力は依然として不可欠なツールだ。米国の目標は「中国除外」ではなく、より活力あふれる最高の自分になることだ。
それから「再接触」は、中米以外の多くの国が望むことでもある。各国は中米に共に「統治」されることを望んでおらず、ましてや中米のどちらかにつく選択を強いられたくない。豪州のモリソン首相は昨年11月、「対抗」により中米関係を定義することを避けなければならないと述べた。
中米が「再接触」を実現するための前提は、両国の経済貿易摩擦を適切に処理することだ。双方は「90日交渉」がもたらすチャンスを逃すべきではなく、アクシデントによる影響を極力回避するべきだ。経済貿易摩擦は中国経済に影響を及ぼし、米国経済にも大きな損失をもたらす。米国商工会議所の代表者らは、トランプ政権による対中関税の真の犠牲者は中国ではなく、米国の輸入業者、企業、消費者だと述べた。注意すべきは、中米「停戦」の見通しが強まっていることだ。今年1月末、ホワイトハウス経済諮問委員会のケビン・ハセット委員長は、米中双方が3月1日までに貿易協定を結ぶことを信じていると述べた。シティバンクが先ほど発表した報告書も、中米は予想を上回る貿易協定を結ぶ見通しとの判断を示した。
トランプ政権が中国への圧力を強めるなか、米戦略界の一部の関係者はすでにこの流れを懸念している。両国の利益は絶対に相容れないわけではなく、接触と競争も相反する選択ではない。実際にはさまざまな課題の裏側で、事実上の「中米新型関係」が形成中だ。大国の競争に適切に対応するにせよ、国際レジームの全体的な安定を確保するにせよ、中米両国がより大きな戦略的知恵により「再接触」を始める必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年2月19日