中米貿易協議 「正しい軌道」への回帰は何を意味するか

中米貿易協議 「正しい軌道」への回帰は何を意味するか。

タグ:貿易 関税 協議 大統領選 トランプ

発信時間:2019-07-02 10:46:50 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 中米指導者がG20大阪サミットの会期中に首脳会談を行った。双方は会談後、平等かつ相互尊重を基礎とする経済貿易協議を再開することで合意したと表明した。米国側は、中国製品を対象とする新たな関税引き上げを回避するとした。両国の経済貿易チームは具体的な問題について協議する。


 トランプ氏は会談後、中国指導者と「非常に良い、素晴らしい」会談を行ったと述べ、「再び正しい軌道に戻った」ことを認めた。また米国企業が中国への供給を再開することを認めたと表明した。(筆者・陶短房 カナダ在住の学者)


 中米の貿易協議の膠着は6週間続いたが、両国は再び「貿易休戦」の共通認識に達した。中米貿易の緊張状態に注目し、中米貿易戦争が周辺及び世界経済の各方面の足を引っ張ると懸念していた関係者は、ようやくほっと一息ついた。


 1年以上に渡り関税・非関税の駆け引きを繰り返した後、トランプ氏のチームは中国のような経済大国と付き合う際に自国ばかり得をしようとし、尊重と対等を蔑ろにすることは絶対に不可能であることを以前よりも深く認識したはずだ。意図的に別の問題をこしらえ、極端な圧力をかけることは、平等な協議の精神に悖る。中米には多くの食い違いと溝が残されているが、双方が今回公の場で共に「平等及び相互尊重」の経済貿易協議の再開を確認したことで、双方の今後の協議はより実務的になり操作が容易になる。


 長期間に渡り駆け引きを繰り返したことで、トランプ氏とその強硬派の腹心たちは以前よりも、貿易戦争は彼本人が言っていたように「簡単に勝てる」わけではなく、中米という2つの経済大国間の貿易戦争が双方を共倒れにさせるだけでなく、世界の貿易及び終章経済国の利益を損ねることを深く認識している。協議の正しい軌道に戻り、一日も早く互恵・ウィンウィンの協定を結び、これをしっかり遵守し続けることが互恵の正しいやり方だ。


 トランプ氏とそのチームが態度を変えたのは、選挙の需要によるところが大きい。2020年の大統領選に向けた準備がすでに始まっており、トランプ氏は再任を目指している。ところが現在は内政と外交のどちらにも多くの「物議」があり、国民からの支持率も低い。トランプ氏はこのタイミングで、中米貿易関係という「大きな題目」で納得させられる回答を提出することで、不安に陥る支持者と有権者をなだめる必要がある。


 しかしながら、今回の中米首脳会談で形成された共通認識は、枠組み的で原則的なものが多い。関税引き上げの回避、対中供給再開に関するあいまいな発言の他に、それほど実質的な内容は含まれない。昨夏から現在まで中米双方は何度も協議を繰り返し、段階的な共通認識を何度も形成しているが、最終的にはいずれも米国側の急な要求により物別れに終わっていることに注意が必要だ。また協議が再開されるたび、双方の貿易緊張関係は事実上、新たな段階に進んでいる(さらに広範な追加関税導入、リスト入りする企業の増加)。今回もこのようなやり方を続けるならば、今後の協議は難航し不透明になるだろう。


 中国は貿易戦争を望まないという態度を何度も示してきた。今回の中米貿易摩擦において、中国側は終始受動的に対応している。米国が態度を和らげれば米国にとって有利であり、中国にとっても当然有利である。ところが中国は過去1年に渡る紆余曲折を経て、米国側がどのような態度を示そうとも、中国は改革開放の道を揺るぎなき姿勢で歩み続けると同時に、着実に攻撃に対抗する能力を高め、自国のことに取り組めばいいことに気づいている。


  「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年7月2日

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