新型コロナ感染症は人類史上初の世界的な危機 協力が唯一の選択肢

新型コロナ感染症は人類史上初の世界的な危機 協力が唯一の選択肢。そのため専門家は世界的範囲でみれば、人類がいま感じている政治・経済・社会への衝撃は「氷山の一角」に過ぎないと警告する…

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発信時間:2020-04-11 09:00:00 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

                                         文=国際関係学院教授 達巍 


 世界中に蔓延する新型コロナウイルスは1918年インフルエンザ大流行後、この100年で最も深刻な公衆衛生上の危機というだけでなく、冷戦終結後、9.11同時多発テロ事件、2008年世界金融危機に続く世界的な安全保障の危機というだけでもなく、人類史上初の世界的な危機となった。


 今回の危機が過去のその他の事態と違う理由は4つある。


 第一に脅威の発生源について、9.11テロ襲撃にしても過去に繰り返された戦争衝突にしても、その大多数の発生源はある人たちが故意に決定し行動したことだった。ところが新型コロナウイルスは我々がまだ知らない自然界を発生源にしており、人が故意にウイルスを拡散した可能性は極めて低い。


 第二に影響範囲について、米国で起きた9.11テロ事件や2008年の金融危機とは違い、新型コロナウイルスは非常に短期間で東アジア、北米、ヨーロッパという3つの世界経済の中心で相次ぎ爆発し、「震源地」が3つある。しかも今後新たな「震源地」が現れる可能性もある。ウイルスはすでに世界200近い国や地域に蔓延しており、北極圏から太平洋の島国までどんな辺鄙な地域もその脅威から免れることはできない。世界の30億人以上がすでに「外出禁止」状態にある。


 第三にその持続時間について、特効薬かワクチンの開発が成功し広範囲で行き渡るまで人類はウイルスと共存しなければならないだろう。専門家によると、ワクチンと特効薬の普及には少なくとも12-18カ月はかかるという。中国のように国内での新規感染者が少ない国でも、海外からのウイルス持ち込みや二次爆発を防ぐため、防疫対策は持続する必要がある。我々は国境内のウイルス拡大はほぼ封じ込めたが、世界的範囲からまだウイルスと共存しなければならない。


 第四に、1918-1920年のスペインかぜや中世のペストなどの大流行と違い、新型コロナウイルスは高度なグローバル化、各国が高度に相互依存する現代社会という条件下で爆発したものだ。相互依存は、各国間のウイルス拡散を容易にしただけでなく、ウイルスによる政治・経済・社会の動揺も同じように広がりやすい上、相互に重なり合い、予測しがたい「バタフライ効果」を生む。一国の事態が遥か遠くの地域や直接関係のない分野にまで波及し、大きな波を起こす可能性がある。


 新型コロナウイルスによる世界の産業チェーンへの衝撃、欧米の感染拡大が中国経済の外部環境に与える影響、感染拡大が各国の政局に与える影響、感染拡大が地政学やその他の安全保障問題に与える影響はいずれも我々にとって予想外の長期的な衝撃を与える可能性がある。そのため専門家は世界的範囲でみれば、人類がいま感じている政治・経済・社会への衝撃は「氷山の一角」に過ぎないと警告する。


 そのため新型コロナウイルスは今世紀に起きた他の2度の危機――9.11テロ事件と2008年の金融危機とは違う。この2度の危機は重大かつ世界的な危機だったが、今回の新型コロナは人類初の世界的な危機だろう。今回の危機は各国或いは各国間の危機というだけでなく、人類全体或いは世界が直面している危機といえる。


 新型コロナの感染拡大を第一次大戦や第二次大戦に例えて話す国の指導者もいるが、戦争で言うなら、新型コロナは国家間の第三次「世界大戦」ではなく、人類と人類の敵の初めての「世界大戦」であろう。こうした危機は『コンテイジョン』や『デイ・アフター・トゥモロー』『さまよえる地球』などの映画でなら観たことがある。そのため今回の新型コロナを、将来気候変動によって起きる世界的危機の予行演習ととらえる専門家もいる。我々が世界初の危機に今どう対応するかで次の世界的危機を阻止できるか、或いは有効に対応できるかが決まると言っても過言ではない。


 世界の危機は世界で対応する必要がある。どの国も単独でこの世界「戦争」に勝つことはできない。欧米で感染が収束しなければ、発展途上国も警報を解除できないし、中国も自国の事だけ考えるわけにはいかない。中国と米国は2大経済大国として、新型ウイルスが最初に爆発した国と最も深刻な国として協力して新型コロナに対応するとともに、特に発展途上国の防疫をサポートする必要があり、その責任があり、その能力がある。


 残念ながら中米関係はこの3年で著しく悪化した。そのためこの3カ月、両国は勢いを増す共通の敵を前に協力して有効な対応ができなかった。ウイルスは両国関係をさらに悪化させる「触媒」となり、民間でも不信や憎しみ、怒りの感情が一気に高まった。このままの状況が続けば、新型コロナウイルスは中米両国が「新たな冷戦」に入る最後のわらになる可能性があり、両国や世界各国の防疫にとって何のメリットもないばかりか、新しい予測不可能な問題をもたらす恐れすらある。

 

 中米関係は宇宙人が地球を侵略しない限り、過去の協力主導の状態に戻るのは難しい、と中米関係の専門家はここ数年冗談交じりで揶揄してきた。そして今、新型コロナウイルスという「宇宙人」がやってきた。こうした歴史の瀬戸際を前に中米両国には協力しか選択肢は残されていない。注目が集まった3月27日の中米首脳の電話会談。その後、中米関係の雰囲気は和らぎ、協力の兆しが見え始めた。中米双方は政府も民間も政治化に代わる専門化に早急に取り組み、両国間・多国間の協力によって一方の行動を補強し、人類史上初の世界危機に協力して対応しなければならない。


「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年4月11日

 

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