中国の防疫過程において、科学技術力は重大な役割を発揮した。DNAシークエンシング、人工知能(AI)、5G技術などの科学技術に支えられ、中国は短期間で感染症流行を抑制し、業務再開を実現した。この背景下で、「科学技術防疫」は今年の両会でホットな話題となる。全国人民代表大会代表で深セン光啓高等理工研究院院長の劉若鵬氏は、科学技術防疫の成果をさらに強化・拡張し、ビッグデータやスマートウェアラブルデバイスなどのITを利用して常態的な流行病予防のインフラを構築することを提案した。
劉若鵬氏は中国網の取材に対し、中国の防疫過程において、科学技術革新の作用は以下の2つの面に現れていると述べた。1つは医療システムで、新型コロナウイルス感染症の診断、治療、薬物、ワクチンの開発。もう1つは、全社会の予防と流行病学の調査作業。「アフター感染症時代」、科学技術力を生かして常態的な流行病予防作業を展開することは極めて重要である。劉若鵬氏は、「伝統的な方法で予防抑制することは我々にも可能である。しかし、社会管理のコストは高く、持続できない」と述べ、ビッグデータやスマートウェアラブルデバイスなどの技術を利用して流行病予防ネットワークを構築することを提案した。
劉若鵬氏は、一部のウェアラブルデバイスは感染症の予防抑制に応用され、武漢の封鎖解除時、天河国際空港を巡回する人民警察はサーモグラフィー・スマートヘッドセットで急速に検温したと紹介。劉若鵬氏は、多くの先進的な科学技術手段を社会生活の各シーンに応用し、学校やコミュニティなどの人が密集する場所はより効果的な検測手段を必要とし、感染症の拡散を最大限に防ぐことができると提案した。
劉若鵬氏は、情報化、常態化した予防抑制メカニズムと早期警戒システムを構築することは、新型コロナウイルス感染症の予防に役立ち、インフルエンザ、手足口病およびその他の流行病の予防ツールとしても長期的な意味があるとの見解を示した。また、「これは1つの民生プロジェクトである。社会の貴重な医療資源を節約し、庶民の満足感を高めることにつながる」と述べた。
先進科学技術研究に携わる全国人民代表大会の代表である劉若鵬氏は、科学技術の革新分野に以前から専心している。彼は、今年の両会では2つの提案を用意したと明かした。1つは、メタマテリアルや半導体などの新興技術分野の製造能力の強化に関して、先端技術製造基地モデルプロジェクトを構築すること。もう1つは、新形態のスマート端末と5Gネットワークを組み合わせた発展を推し進めることである。
今年は中国が革新型国家になった年であり、中国の科学技術革新能力は新型コロナウイルス感染症の試練を経験し、「アフター感染症時代」にもより多くの試練と発展のチャンスを迎えるに違いない。劉若鵬氏は、「我々は新技術に頼り、新しいインフラを建設してこそ、新たな試練が絶えない中で社会の持続的かつ健全な発展を維持できる」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年5月22日