米国がドイツの1万2000人の駐留米軍を撤退させることを正式決定した。多くのメディアは今回の「歴史的な撤退」に注目すると同時に、次のターゲットが在韓米軍になるかをめぐり憶測を始めている。米国メディアは先ほど、米国防総省がすでにホワイトハウスに在韓米軍の削減を提案していると伝えた。米国のエスパー国防長官は関連報道を否定したが、米軍が急に削減され、さらには撤退するのではという韓国の懸念を払拭できていないようだ。ドイツと韓国のいずれのケースであっても、その裏側には政治的な考えと、米国の海外駐留による「軍事プレゼンス」の低下のすう勢がある。
韓国には主に次の2つの考えがある。まず朝鮮半島は依然として分裂しており、南北が平和的共存を実現していない。また朝鮮は近年、核兵器とミサイルの研究開発で韓国に相対的に有利になっている。韓国は安心を買うため米軍が残ることを必要としている。
次に韓国は米国の強い軍事プレゼンス、堅固な米韓同盟により、自国の戦略的な地位を高める必要がある。李明博政権が「グローバル韓国」を掲げた後、韓国は国際的にリーダーシップを発揮しようと取り組んでいる。今年急に発生した新型コロナウイルスを韓国は上手く封じ込めた。文在寅政権は何度も、韓国は世界的な問題をめぐりリーダーシップを発揮すべきと表明した。これにも米国の支持が必要で、主に米韓連携を先に実現し米韓同盟を堅固にすることが基礎となる。
第二次大戦後の米韓同盟の発展の流れを見ると、米国が終始その主導者になっている。またどの時期であっても、米国の主な目標は韓国の保護ではなく、大国との競争に利用することだった。米国の現政権は近年、在韓米軍縮小という別の傾向を示している。筆者が近年接触した一部の米国のシンクタンクも、この問題をめぐり研究を開始している。例えばアメリカンエンタープライズ研究所(AEI)の軍の勤務歴を持つオリアナ・マストロ氏は数年前から、この問題の研究を開始している。彼女は筆者に、米国が在韓米軍縮小、さらには撤退による現在の軍事プレゼンスの低下を検討できる主な理由を語った。
情報化の時代において、海外駐留の軍事的意義が大幅に弱まっている。米国は現在、前線に軍を駐留させずとも、本土から遠く離れた標的を正確に攻撃できる。また海外駐留は経費がかかり、かつ駐留先との関係を複雑化させる(市民との対立など)。マストロ氏は、海外駐留は現在、同盟関係の一つの象徴になっていると指摘した。象徴であるならば、別の新たな手段を模索できる。
海外駐留の削減の検討は、米軍にとって単なる戦略的な後退によるものではなく、新時代のコストと収益のバランスの調整だ。米国は現在、関連地域の駐留削減がその大国と競争する能力を落とさないならば、主にコスト削減を目指そうとしている。特に在韓米軍の駐留経費をめぐる韓国との交渉が難航するなか、撤退の考えが浮かぶのも不思議なことではない。
米国の世界における条約上の55の同盟国に目を向けると、米軍駐留規模が1万人を超えるのは日本、ドイツ、韓国、イタリアの4カ国のみ。これは米国の同盟国の圧倒的多数が政治的な同盟国であり、実際の米軍駐留規模が小さく、武器もそれほど配備されていないことを意味する。新たな状況のもと、米国内では米軍の海外駐留の削減を求める声が高まっている。具体的な在韓米軍の縮小については上述した分析のとおり、中米の信頼関係の構築、半島問題の解決を促し、米韓同盟の刺激を弱めることができる。(筆者・王俊生 中国社会科学院アジア太平洋・世界戦略研究院研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年8月13日