「死者20万人、これは米国式の失敗だ」。米同時多発テロから19年後、米誌タイムは再び黒を基調とする表紙を採用した。表紙には2月29日の最初の死者以来、出版日間近の9月8日までの193日間に新型コロナウイルス感染症のため米国で亡くなった人々の数が記されている。現在、この数字は20万人に迫っている。(文:葉燭。人民網掲載)
米国で最初の感染者が確認された1月20日から、8か月が過ぎた。その間に感染者は1人から680万人以上へ増え、死者は10万人、そして20万人の大台に乗っていった。米国メディアはこれを「国としての失敗」と結論付けている。各レベル、各政党の指導力の失敗、科学者や専門家に対する全体的な信頼不足、文化に深く根差した個人主義、及び「我々の人命観」だ。
感染拡大当初、米国の政治屋は「インフルエンザと違わない」と宣伝した。検査や濃厚接触者の追跡は不十分なままだった。各州は速やかな封鎖解除を促された。科学者たちの声は抑え込まれた。「これは致命的なものだ」。米国の著名なジャーナリストのボブ・ウッドワード氏は新著で、トランプ大統領が米国で最初の死者が出る数週間前には新型コロナウイルスの深刻性を知っていたにも関わらす、公の場ではその脅威をうやむやにしてきたことを明らかにした。
指導力の欠如によって、米国の防疫は方向性を見失った。米誌アトランティック・マンスリー特約寄稿者のGeorge Packer氏は「あの際限のない3月の毎朝、米国人は目覚めるたびに自らが失敗した国の国民であることに気づいた。国家に計画はなく、一貫した指示は全くなく、家庭、学校、オフィスのいずれもが自然消滅の状況に置かれ、封鎖すべきなのかその場で保護すべきなのか、自らが戸惑いながら決定するほかなかった。検査薬、マスク、防護服、人工呼吸器など医療物資が非常に不足していた。各州知事はホワイトハウスに支援を要請したが、ホワイトハウスの腰は重く、逆に個人や企業に行動を呼びかけていた。物資の不足した医療従事者や患者が生きていけるよう、一般市民がミシンを出した。国連が世界で最も豊かな国に人道支援を行った。極度の混乱の中で、この国は物乞いになった」と記した。
最近またトランプ大統領は「集団免疫」を持ち出し、ポンペオ国務長官は自ら仕立て上げた「新冷戦」に深くはまって抜け出せずにいる。AP通信が9月20日に発表した世論調査では、米政府の新型コロナ対策への支持率は39%だった。8か月間、ホワイトハウスの新型コロナ対策に変化はなかった。つまり国内では消極的に新型コロナと闘い、国外に積極的に責任転嫁するというものだ。変わったのは、跳ね上がり続ける死者数だ。
だがそれは数字ではなく、かつて生きていた命だ。彼らはしかるべき保護を受けられなかった高齢者であり、人生が始まったばかりの子供であり、将来への希望に溢れた若者であった。さらに多く犠牲となったのが、「アメリカン・ドリーム」を抱くアフリカ系その他エスニック・マイノリティの人々だ。
人の命は最も貴いものだ。生命権と健康権が第一の人権だ。20万人の命が失われたことで、「命を軽視する」米国の為政者は目を覚ますだろうか?(編集NA)
「人民網日本語版」2020年9月22日