(四)韓日関係に大きな変化が生じた。韓国が今回発表した白書に最も不快感を抱いているのは日本だ。白書は、日本を中国の後に置き、かつ「両国の関係発展のみならず、北東アジア及び世界の平和と繁栄の問題において共に協力する隣国」と定義した。また「日本の歴史歪曲、独島(日本名・竹島)への不当な主張、韓日問題における一方的な身勝手な振る舞いに断固、厳粛に対応する。同時に朝鮮半島、北東アジアの平和と安定など共同の安全問題における継続的な協力を強化する」とした。日本は前回の白書で「韓日両国は地理的にも文化的にも近い隣人であり、世界平和と繁栄のため共に協力するパートナーでもある」と定義されていた。
日本の20年版防衛白書が韓国との「広範な協力」を削除し、独島について言及したことを受け、韓国の白書は独島への主張を強調した。日本はこれに強く反応し、抗議した。白書は「日本の指導者が独島問題について挑発的な発言を繰り返し、18年には日本の哨戒機が韓国の軍艦に近接飛行した。日本はさらに19年7月に徴用工問題を受け韓国に輸出規制などの制裁を行い、韓日軍事関係が苦しい局面に陥った」とした。
これを受け、米国がたまらず取り成しに出た。米国防総省の報道官は、韓国と日本は米国のアジア太平洋における最も重要な同盟国であると述べた。
(五)対中関係について、白書は16年のTHAAD配備後の一連の変化に言及する代わりに、17年に文大統領が就任早々訪中した際の中韓首脳会談について言及した。これをきっかけとし、中韓関係は「正常化」を迎えたとした。
上述した通り、韓国の安全観に変化が生じたことが分かる。朝鮮は少なくとも韓国軍の現在の標的ではない。韓国はまた米国に対しても、韓国軍の自主性を高め朝鮮との関係を安定させることを願っている。韓国は米国が掲げたインド太平洋戦略、安全保障対話枠組み「クアッド」などへの加入をためらっている。同じく対日問題についても、韓国は韓日を取り成し韓米日安全同盟を構築しようとする米国の考えに大きく背いている。対中問題について、韓国は中米の競争においてどちら側につくかについて強い圧力を感じている。この大きな国際関係の構造の変化において、韓国自身の安全の利益の損失を避けようとしている。しかも感染対策を通じ、中韓の間で共通点が増えている。今後一定期間内の中韓関係については期待すべきだ。(筆者・鄭継永 復旦大学朝韓研究センター主任)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年2月4日