スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が26日に発表したデータによると、世界の軍事費は昨年、コロナ禍にも関わらず増加し、2兆ドル弱にのぼった。
SIPRIの報告書によると、昨年の世界の軍事費は2.6%増の1兆9810億ドルだった。昨年の世界の国内総生産(GDP)は4.4%減。
世界の軍事費が世界のGDPに占める割合は昨年2.4%で、前年の2.2%を上回った。前年比では国際金融危機後で最大の伸び率となった。北大西洋条約機構(NATO)加盟国のうち12カ国は昨年、軍事費の対GDPを2%以上にするというNATOの防衛費目標を達成した。2019年にこの目標を達成したNATO加盟国は9カ国。
報告書を執筆したディエゴ・ロペスダシルバ氏はAFPに対して、「世界の軍事費の増加は意外だった。新型コロナウイルスにより、軍事費が削減されると予想されていた。しかし少なくとも昨年は、新型コロナウイルスが世界の軍事費に重大な影響を及ぼさなかったとほぼ結論できる」と述べた。
報告書によると、米国は世界の軍事費が最大の国で、昨年は前年比4.4%増の7780億ドル(世界の39%)にのぼったとみられる。米国の軍事費は3年連続で増加。
別の執筆者であるアレクサンドラ・マークシュタイナー氏は、これは戦略的な競争相手からの脅威に対する米国の懸念の深まりを反映しているとした。
ロペスダシルバ氏は、バイデン政権が軍事費を減らす兆しはまったくないと述べた。
ロペスダシルバ氏は「各国が新型コロナウイルスの流行から2年目にこの軍事費の水準を維持するかについては、今後の経過を見守る必要がある」と注意を促した。
新型コロナウイルスはすでに、一部の国の軍事費に影響を及ぼしている。チリや韓国などの国は、一部の軍事予算を感染対策に振り分ける方針を示している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年4月27日