米国の人権侵害5つの大罪(ニ)

米国の人権侵害5つの大罪(ニ)。レイシズムは米国社会の隅々に蔓延する「疫病」であり、何世紀を経たにも関わらず、その「治療法」も「ワクチン」も見つかっていない…

タグ:レイシズム 治療法 ワクチン

発信時間:2021-05-08 11:35:59 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 レイシズムは米国社会の隅々に蔓延する「疫病」であり、何世紀を経たにも関わらず、その「治療法」も「ワクチン」も見つかっていない。黒人男性のジョージ・フロイドさんの暴行死事件の審理が行なわれている間に、同じくミネソタ州でまたしても黒人男性が警察に銃殺されるという事件が起こり、改めて人々の怒りに火を付けた。米国において、このような事件の繰り返しはとても偶然の一致とは言えない。何度となく生じている特定の人種に対する悪質な暴力事件は、米国社会に一息つかせることも無く、この国の良心は一体どうなっているのかと絶えず厳しく問いかけている。(文/胡沢曦。人民網掲載)


こうした米国全土の注目を集めた特定の人種に対する悪質な事件は氷山の一角に過ぎず、その下に隠れているのはより普遍的でシステミックな不公平さだ。過去1年あまりの間に、突如襲来した新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、水面下に埋もれていたとてつもない大きなものを、より多くの人がはっきりと目にするようになった。大量のデータが明らかにしているように、アフリカ系やヒスパニック系などの米国のマイノリティは感染症によって比較にならないほど大きな打撃を受けた。その背後にあるのは、経済社会資源の占有をめぐって米国の異なる人種間に存在する普遍的なアンバランスだ。アフリカ系であるハワード大学医学部の副学部長は次のような嘆きの声を漏らした。「私たちの属する人種グループの現状を見よ。ここは食べるものすらろくに無く、交通の便は悪く、教育が十分に受けられない荒野だ……健康にとってプラスになる一切の社会的要素を、私たちは何も備えていない」。


米カイザー・ファミリー財団の研究によると、2010年から2018年までの間に、アフリカ系米国人で医療保険に加入していない人の割合は白人の米国人の1.5倍になり、ヒスパニック系米国人ではこの割合は白人の米国人の2.5倍以上だった。高額の医療費が大勢のマイノリティに治療を諦めさせている。たとえ病院で治療を受けられたとしても、マイノリティが遭遇する不公平さはまだ終わらない。米紙「ニューヨーク・タイムズ」の報道によると、大量の研究から明らかになったことは、アフリカ系の患者が受けられる治療は往々にして白人の患者が受けられる治療に及ばないということだった。感染症対策という経済の戦場においても、マイノリティはシステミックな不公平さに直面している。フェデラル リザーブ バンク オブ ニューヨークのデータでは、昨年2月から4月までに、アフリカ系米国人の経営する企業の41%が倒産し、同期の白人が経営する企業の倒産率は17%だった。米国の「政治屋」のサイトはこれを分析して、アフリカ系米国人はある種の「調査可能な証拠のある経済的差別モデル」にずっと直面していると指摘した。たとえば、同じような信用状況の白人に比べ、アフリカ系は貸出を受けようと思ってもより断られやすく、たとえ受けられたとしても、往々にしてより高い利息を支払わなければならないという。


似たような状況が米国の経済社会の各方面にも見られる。有色人種が米国の18歳以下の未成年者に占める割合は約3分の1だが、拘禁された未成年者の総数に占める割合は3分の2だった。アフリカ系の米国人が警察に殺害される確率は白人の3倍に達している。白人の家庭の資産の中央値はアフリカ系の42倍、ヒスパニック系の23倍だ。米紙「USAトゥデイ」のサイトの報道によると、2020年第1四半期には、米国の白人世帯のマイホーム保有率は73.7%。アフリカ系世帯はわずか44%だった。米連邦捜査局(FBI)の諜報員1万3千人のうち、アフリカ系はわずか4%で、FBIは捜査活動のトレーニング段階でアフリカ系の応募者をかなりの割合で除外している。米AP通信の報道は、レイシズムのトラウマは何世紀にもわたる抑圧的な制度とレイシズムの行動に基づいており、こうした問題はこの国の隅々にまで、すでに深く刻み込まれていると伝えている。


 実際には、大量の世論調査の結果が明らかにしているように、米国の大多数の人々は目下の人種をめぐる状況に不満を抱いている。しかし政治的な決定においては、人種による不公平の問題に関する多くの改革措置は、常に政治的に中途で挫折させられてきた。フロイドさんの事件が発生した後に打ち出された警察の法執行の改革法案は、いまだに米国議会で可決されていない。現在の米国政治はさらに分裂状態に陥っており、このために人種をめぐるトラウマを修復し、人種的正義を回復するために実質的な措置を打ち出すのがより困難になっている。一部の政治屋はさらに公然と極右思想を奉じ、アイデンティティ政治と言葉遊びに打ち興じ、「白人至上主義」をあおっている。新型コロナウイルス感染症が発生して以来、米国のアジア系の人々が遭遇する差別と不公平が急速に拡大しており、これは一方では長期的に存在してきたアジア系に対する差別と偏見を露呈させたものであり、また一方では政治屋が盛んに売り込む排外主義の悪しき手本とも密接な関係があると言える。以前、米国のある外交官は国際的な場で米国のレイシズムの危機を認めたという理由だけで、ポンペイオ氏を始めとする右翼政治屋たちから包囲攻撃された。こうした現象は、政治的プリズムが目下、一部の米国人の人種問題に対する視線をゆがませていることを物語るものにほかならない。


現職のバイデン大統領は就任当日直ちに、米国には、「400年前から続いてきた人種間の平等を求める叫びが、私たちを突き動かしている」と述べるとともに、人種の平等の増進を任期内の4大優先項目の1つにするとした。こうした遠大な抱負と壮大な意気込みを前に、人々は既視感を感じずにいられない。12年前、初のアフリカ系大統領となったオバマ氏がホワイトハウス入りし、米国社会は今と同じような「チェンジ」への期待を抱いた。しかし、その後の歴史がすでに十分に明らかにしているように、人種間の矛盾を真に緩和しようと思えば、米国に必要なものは意気軒昂な政治的スピーチにはとどまらない。今や、米国の人種問題はますます深刻さを増しており、すでに国際社会が最も注目する人権問題の1つになっている。国際連合人権委員会(UNCHR)が今年、米国の「国別人権報告書」を審議した際には、110数ヶ国から米国の人権問題へ批判の声が上がった。このますます深刻化するこの人種問題という「疫病」に直面して、米国がもしも引き続き実質的な行動を取ることが困難であるなら、米国が自身に付した人権神話は、おそらくより荒唐無稽なでたらめになるだけだろう。(編集KS)


「人民網日本語版」2021年5月8日

 

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