「米国は余ったワクチンを直ちに寄贈せよ」インドなどの感染状況の深刻な地域で新型コロナウイルスの感染が再拡大するなか、米国は世界のワクチンの4分の1を溜め込み道義的な危機に陥っている。ワクチンを26億回分も注文したことで、この国は多くの海外メディアから皮肉を言われている。
米デューク大学の調査報告書によると、世界の多くの国は現在もワクチン不足に陥っている。新型コロナウイルスワクチンを共同調達する国連枠組み「COVAXファシリティー」が十分な資源サポートを受けながらも、世界の援助を必要とする92の発展途上国の接種率は20-25%に留まっている。これらの国の接種率が60%に達するのは2023年以降だろう。インドを始めとする南アジア諸国では、現場に立つ多くの医療従事者も1回目の接種が2022年、もしくは2023年にずれ込みそうだ。
米国を始めとする先進国は現在、驚くほど多くのワクチンを溜め込んでいる。注文したワクチンの交付が続き、米国が溜め込んでいるワクチンの量がすでに7300万回分を超えている。米国では今年7月に3億回分以上が余る見通しだ。これは米国の全人口が接種をほぼ終えた後、余ったワクチンで全員にもう1回接種できることを意味する。米ニュースメディアのVOXは、これほど大量の在庫を抱えながら感染拡大中の国と共有しなければ、道義的に「まったく説明がつかない」とため息を漏らした。
米政府は感染状況が深刻な国に酸素ボンベ、試薬キット、個人の防護用品を寄贈し、さらにはワクチンの特許権を放棄すると表明したが、ワクチンを海外に大量輸送していない。バイデン氏は今年4月、各国にアストラゼネカ製のワクチンを6000万回分輸送すると約束したが、これらの物資は現在もまだ倉庫内に眠っている。多くの専門家は、ワクチン輸送は多くの煩瑣な公式手続きを踏まえる必要がある上、政府の取り組みも非常にスローペースで、ワクチンの量も「ケチ」だと見ている。米国の現在の在庫があれば、バイデン政権は完全によりスピーディーかつより大量の対外援助が可能だというのだ。
米国やカナダなどの国がこのほど若者向けのワクチン接種を認めたことを受け、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は先週金曜日に「現状を見る限り、感染症による死者が今年さらに拡大する。先進国は自国の未成年者の接種を急ぐのではなく、COVAXに寄贈しワクチンを必要としている貧困国を支援するべきだ」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年5月17日