「感染対策ナンバーワン」を自負する米国、どこで失敗したのか?

「感染対策ナンバーワン」を自負する米国、どこで失敗したのか?。感染対策の失敗は表面的な現象に過ぎない。政治が科学を凌駕し、人々の生きる権利と健康権を無視し、さらに長期的な制度の失効、経済のバランスの乱れ、社会の不和が加わっている…

タグ:感染対策 コロナ ウイルス ワクチン 政治化

発信時間:2021-07-30 14:11:27 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 NYブロードウェイ・シアターが昨年3月に閉鎖された当時、1年以上たっても舞台のライトが消えたままとは想像できなかっただろう。これは米国の新型コロナウイルスの感染状況が再び悪化したからだ。

 

 米国は累計の感染者数も死者数も世界一で、2位に大差をつけており、世界で感染状況が最も深刻な国になってから1年半弱になる。100万人中の死者数、新型コロナウイルスの検査の陽性率といった重要指標を見ると、これが世界で最も豊富な医療資源と看護能力を持つ国であるとは想像しがたい。

 

 データは嘘をつかないが、人は嘘をつく。米ブルームバーグは先ほど発表した「世界の感染対策ランキング」で、感染状況に関する重要な指標とデータを削除し、封鎖の実施といった防疫政策をネガティブな要素とし、無理やり米国を首位にし、「感染対策世界トップ国」と称した。

 

 この「感染対策世界トップ国」は、いったい何をしたのだろうか。

 

 米誌「アトランティック」は昨年9月の「感染症はいかに米国を破壊したか」と題した記事の中で、「十分な警告があったにも関わらず、米国は感染抑制のすべてのチャンスを無駄にした」と指摘した。

 

 アメリカ国家安全保障会議は昨年1月上旬の段階で、新型コロナウイルスの感染が米国まで拡大し、パンデミックになる恐れがあると予想する多くの報告を受けていた。その後の丸2カ月、ホワイトハウスと多くの政府部門の専門家も、米国での流行の危険性を何度も警告した。

 

 警告を無視し、情報統制に専念し、フェイクニュースを発表し人々をミスリードする。彼らは新型コロナウイルスを「インフルエンザの親分」と呼び、ウイルス感染のリスクと死亡率を「非常に低い」とした。感染症は「すぐに奇跡的に消滅する」「消毒液を注射すればウイルスを殺せる」といったデタラメも多く目についた。

 

 政治家は国内を騙し、専門家は耳に痛い真相を口にすれば左遷され、口封じされる。感染症専門家で、トランプ政権下のホワイトハウスのコロナウイルス対策チームのメンバーだったアンソニー・ファウチ氏は人々に向け何度も真相を明らかにしたことから疎んじられ、さらには会見を制限された。米国の生物医学先端研究開発局(BARDA)の元局長のリック・ブライト氏は、ホワイトハウスが推奨するが科学的に検証されていないヒドロキシクロロキンを使った新型コロナウイルスの治療に反対したことから免職となった。「ニューヨーク・タイムズ」は、専門家が提案した防疫措置と短期的な経済的利益の間に大きな食い違いがあるが、これは米政府が「科学者の口封じ」を選択した重要な理由だと分析した。

 

 外国のせいにし、他国を中傷し責任転嫁し、レッテルを貼り中国に汚名を着せる。「ニューヨーク・タイムズ」(電子版)は記事の中で、「株価が暴落し、米政府の感染対策の遅れが強く批判されてから間もなく、米国側はウイルスの呼称を変えた」と指摘した。

 

 防疫の指揮についても、米国には全国的な方針と調整がない。米下院は昨年4月、連邦政府の感染対策を監督するため新型コロナウイルス危機に関する下院特別小委員会を設置した。同委員会のジェームズ・クライバーン委員長は、米国でウイルス感染が流行してから6カ月後も、米政府は統一的な国家戦略により国民の健康を守れていないと批判した。

 

 感染対策が混乱し秩序を失っているが、政府は感染症関連データを改ざんしている。CNNは以前、米保健福祉省の当局者は、米国疾病予防管理センターが発表した感染症関連の報告書を何度も書き換えたと伝えた。

 

 感染対策の重要な希望であるワクチンについて、米政府はワクチンがまだ臨床試験の段階のうちに予約し、買い占めた。一部の発展途上国及び地域がウイルス不足に陥るなか、米国の国内の余ったワクチンが倉庫内でホコリをかぶり、使用期限を迎えている。

 

 米デューク大学が世界のワクチン調達契約を追跡したところ、米国はすでにワクチンを約26億回分買い占め、世界の総量の4分の1を占めている。これは米国人3億3000万人の需要の4倍弱にのぼる。

 

 多くの専門家は、ワクチン分配の不公平は世界の感染対策の成果を大きく制限していると判断した。十分なワクチンを得られない発展途上国と貧困国で感染拡大が続き、かつウイルスが変異した後に感染状況が好転する国に輸入される可能性があるという。

 

 国際社会が共に感染症と戦う重要な時期である昨年7月、米国はWHOからの脱退を宣言した。権威ある医学誌「ランセット」のリチャード・ホートン編集長は、この措置は「全世界の人々への暴行だ」と述べた。

 

 さまざまな一国主義の行為により、米国は「現代版海賊」と呼べるようになった。自国の医療物資の輸出を禁じ、新型コロナの治療に用いられる薬品の生産能力を買い占め、空港でフランスとカナダから調達されたマスクを押収した。さらに米国から移民を追放しラテンアメリカへの感染拡大ペースを上げた。

 

 今や米国の50州のうち40州以上で感染が再拡大している。変異株「デルタ株」の感染拡大ペースが上がり、新規感染者数が増加を続け、ワクチン接種にもボトルネックが生じている。これらの事実は、米国が自負する「感染対策ナンバーワン」をあざ笑っているかのようだ。

 

 感染対策の失敗は表面的な現象に過ぎない。政治が科学を凌駕し、人々の生きる権利と健康権を無視し、さらに長期的な制度の失効、経済のバランスの乱れ、社会の不和が加わっている。米国の為政者がまだ現実を直視できず、命と民生を最優先できなければ、新型コロナウイルスの被害はさらに続き、米国の被害も終わりが見えないだろう。


「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年7月31日

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