米ペンシルバニア大学のジョナサン・ジマーマン教授は「ワシントン・ポスト」(電子版)の寄稿文で、米国は昔から感染症が発生するとすぐ他人に責任転嫁すると指摘した。寄稿文の内容は下記の通り。
新型コロナウイルスの感染初期、トランプ大統領(当時)は新型コロナウイルスを「チャイニーズウイルス」、さらには「カンフルー」と呼んだ。この人種差別的な比喩はアジア系への暴力事件を扇動した。今や類似する状況が再発している。証拠が不足しているにも関わらず、フロリダ州知事、共和党員のロン・デサンティス氏らは、米国で最近感染者が急増しているが、これはラテンアメリカの移民と関連していると述べ、これにより強制的なマスク着用を禁止した自身の政策への批判をかわそうとしている。
例えば19世紀、米国の世論は華人移民が肺結核、ハンセン病、天然痘などの感染症を広めたと称し、華人排斥法案を助長した。20世紀初頭に数百万人の南欧及び東欧の移民が米国の都市に入ると、病気を持ち込むと非難された。1980年代前半にエイズの危機が発生すると、米国疾病予防管理センターはハイチからの新しい移民を「特殊危険グループ」に指定した。2014年にエボラウイルスが蔓延すると、一部の米国の政治家は国境を封鎖するよう提案した。さらにはその国でのエボラウイルスの発生の有無に関わらず、西アフリカ諸国からの移民受け入れを止めるよう主張した。
米国は常に感染症を外国人と関連付け、彼らを「便利なスケープゴート」にし、疾病及び死亡への責任から逃れる。共和党の政治家による最近の、いわゆる新型コロナウイルスが移民によってもたらされたとする説は正しくないが、外国人のせいにするのは米国の感染症と戦う歴史における常套手段だ。
新型コロナウイルスの感染が最も早く拡大するのは、移民が占める割合が高い地域ではなくワクチン接種率が低い地域だ。ワクチン接種やマスク着用の推進といったシンプルな予防措置が感染拡大防止に対して最も効果的だ。私たちが遭遇した敵とは自分自身だが、鏡を見たり自分の砕けた心を見るよりも他人のせいにする方が容易だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年8月19日