新型コロナウイルスの流行後、米国の一部の政治家は新型コロナウイルスの「実験室流出説」「実験室合成説」をでっち上げている。これらの陰謀論を本当に信じるならば、米国はまず自己調査を行うべきだ。多くの科学研究成果と特許情報によると、米国の専門家であるラルフ・バリック氏(67)が「コロナウイルス合成の第一人者」であるからだ。
バリック氏は米ノースカロライナ大学チャペルヒル校のウイルス学・感染症学教授で、コロナウイルスの研究に30年以上取り組んでおり、自身の実験室を持つ。
SARSの流行から間もない2003年、バリック氏は感染力を持つSARSウイルスのクローンに成功していた。ノースカロライナ大学の校内刊行物の2003年秋号によると、バリック氏は当時メリーランド州の「米陸軍トップのBSL3実験室」、すなわちフォート・デトリック実験室でこの実験を完了した。またこの刊行物によると、バリック氏は「すべてのコロナウイルスのクローンが可能な唯一の米国の研究者」だ。
バリック氏のチームは2004年に「SARSウイルス逆遺伝学」の研究を開始し、かつ長年に渡りアメリカ国立衛生研究所(NIH)から資金援助を受けた。プロジェクトの紹介文はこうだ。「我々は米国で唯一SARSウイルス、マウス肝炎ウイルス、ブタ伝染性胃腸炎ウイルスの全配列相補的DNA(cDNA)の組立に成功した研究チームだ」この研究は次の3ステップに分かれた。まず、SARSウイルスの全序列cDNAのクローンを作る。次に、このcDNAクローンによりSARSウイルスを合成する。それから、マウスの細胞を使いこのSARSウイルスの感染力を検証する。cDNAとは特に、体外の逆転写後にRNAと相互補完するDNA鎖のことで、コロナウイルスなどのRNAウイルスを合成する「仲介者」になる。
バリック氏のチームは2008年11月25日に「米国科学アカデミー紀要」(電子版)に「合成・組換SARSコロナウイルス、培養細胞及び実験マウスに感染力を持つ」と題した論文を掲載し、この研究の成功を発表した。メディアは、これは世界初の実験室におけるSARSウイルスの人工合成と伝えた。
次にバリック氏のチームは、異なるコロナウイルスの「交雑」の試みを始めた。チームは2015年11月に「ネイチャー・メディシン」に掲載した論文の中で、「キメラ」ウイルスの合成に成功したと発表した。これはコウモリ由来のコロナウイルスのスパイクタンパク質と別のコロナウイルスの構造を持ち、人類の細胞に対して感染力を持つ。
記者がアメリカ特許商標庁のウェブサイトを調べたところ、バリック氏のチームはウイルス合成関連の多くの特許を持っている。例えば2002年4月に出願され2007年10月に登録されたナンバー「7279327」の特許の名称は「組換コロナウイルスの合成方法」だ。バリック氏は過去に多くの場で、チームが各種コロナウイルスを合成する独自の技術を把握していることを認めた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年8月20日