米国は現実世界における覇権をサイバー空間に「完璧に投影」し、優位性を得るために、クリントン政権時代から「高台」を占拠するために力を惜しみませんでした。「世界サイバー戦」を主導的に策動し、進撃的なサイバーセキュリティ戦略を推進し、サイバー作戦部隊を拡張してきました。また、他国に対するサイバー攻撃を策動し、サプライチェーン上の「異分子」を抑圧すると共に、ひそかに「傍受帝国」を世界範囲で拡張し、結果的には世界のサイバー空間に不安と不安定性をもたらしています。
20世紀初めごろから、米国政府は4代にわたって戦略競争を核心理念とし、ネットルールの制定権を握ることを目標とし、サイバー空間戦略の絶対的優位性の獲得を意図してきました。相次いで「インターネット確立」「サイバーの管理」「サイバーの支配」の「三段階」に没頭してきたのです。2011年以降、米国防総省は相次いで3つの「サイバーセキュリティ戦略報告書」を通して、米国のサイバーセキュリティ戦略モデルとあり方の進化を完成させました。
2010年、米軍はサイバー司令部を設立し、それ以来、長期的なサイバー戦争準備の道を歩み始めました。わずか5年後、米サイバー司令部の戦力は3000人を超え、その下には60余のサイバー任務部隊が設置されました。トランプ政権になってから、米国の「サイバー軍」は「防御前置」の戦略理念の下で、規模を急速に拡大し、2018年には6187人、133の任務部隊となりました。
米国が国家安全保障を理由に恣意的にサイバースパイ活動を展開して作り上げた「傍受帝国」は世界を危険にさらしています。米国の大規模な傍受計画は、米国家安全保障局(NSA)が2007年から実施していたプロジェクト「プリズム」をエドワード・スノーデン氏が明るみにした後でも、手を引くことはありませんでした。一方、中央情報局(CIA)や国土安全保障省などの情報機関も相次いでこの「傍受チーム」に加わり、世界規模でデジタル情報をより制約なく収集しています。NSAは2009年以降、122人の外国首脳を対象に傍受も実施しています。
米国はコアインフラを破壊するサイバー攻撃能力の向上に力を入れ、SF小説に登場するテロ筋の展開を現実に投影するだけでなく、こうしたテロ技術の世界的な拡散も行っています。2017年には「泣きたい」(WannaCry)や「NotPetya」というランサムウェアが世界を席巻し、世界の多くの政府機関や企業、研究部門の専用ネットワークが不幸にも「当たり」、重要データの深刻な損失を招きました。一方、このソフトは、ハッカーが米国家安全保障局の「サイバー兵器」を改造したものであると、多くの関係筋はみています。
サイバー空間という各国が苦楽を共にし、運命をつなぐ「地球村」において、米国はネットを遮断し、国が違うという理由だけで特定の製品を排斥することで安全を守ろうとしています。しかし、この行為はサイバー空間の開放性に背くだけでなく、真の安全を実現することもできず、人類の未来の発展にかかわる肝心な分野に終わりのない衝突と混乱をもたらすだけに違いありません。
「中国国際放送局日本語版」2021年12月26日