毎年、中国の全国両会(全国人民代表大会・中国人民政治協商会議)の開催時には、中国の軍事予算の解読が西側メディアに溢れるが、今年も例外ではない。「2022年の中国の国防費は前年比7.1%増の1兆4500億元 (1元は約18.3円)」との情報が明らかになるや、西側メディアは直ちに歪曲と誇張を始め、「中国は強力な軍費支出を継続」、「インド太平洋における米軍の主導権に挑戦」等と主張した。(文:範栄。北京日報掲載)
欧米が煩を厭わずに、中国の軍事予算を問題にして騒ぎ立てるのは、「中国脅威論」を誇張するために他ならない。中国の軍事費は多いのだろうか?実際には、中国の軍事費はここ何年か一定の伸び率を保っているものの、国防費の対GDP比は高くはなく、1.5%前後を長年維持している。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の統計では、国防費の対GDP比は英国が2.2%、米国が3.7%、インドが2.9%、サウジアラビアが8.4%となっている。人口一人当たりの支出で比較すれば、中国と外国の格差はさらに広がる。中国は米国の約4倍の人口がありながら、軍事費の総額は米国の約4分の1に過ぎない。こうしたことから、どの国と比較しても、どのように比較しても、中国の軍事費は多いとは言えないことが分かる。
しかし、欧米はかねてより「ダブルスタンダード」に熱心だ。例えば米国は、新型コロナの感染状況が世界で最も深刻な国でありながら、軍事費は減額するどころか増額しており、2023年には世界100ヶ国余りの軍事費の合計に相当する8000億ドル(1ドルは約115.0円)の大台を突破するとみられる。巨額の軍費支出を長い間維持する目的は何か?答えは誰の目にも明らかだ。第二次世界大戦以降、ほぼ全ての米国大統領は在任中に対外戦争を発動したか、外国の戦争に介入した。現在、米国は世界各地に軍事基地を約800ヶ所持ち、20万人近くが駐留している。また、世界の5大軍需企業は全て米国にあり、海外、特に中東など衝突や戦乱の頻発する地域への武器輸出で巨額の収益を得ているのだ。自らが戦乱の源であり、武器弾薬供給業者でありながら、他者を緊張の原因と非難するのは、典型的な強盗の論法だ。
米国の巨額の軍事費は、他国をいじめ、紛争を引き起こし、悪銭を稼ぐためだけであり、世界に危険と動揺を輸出している。これと相反して、中国は軍事力を強化することで、地域と世界の平和・安定を維持するプラスのパワーとなりつつある。近年、中国軍は国の防衛と安定確保に加え、ますます多くの国際的な義務や責任を引き受けるようになった。アデン湾・ソマリア海域での船舶護衛、国際救援活動への参加、そして累計4万人余りの平和維持軍事要員の派遣など、中国の軍事費が増えるごとに、世界の平和と地域の安定は一層の保障を得ると言えるだろう。この平和の配当は、より多くの地域で共に享受されるようになってきている。世界の安全保障にとって最大の脅威は一体どの国なのか、その答えは言うまでもない。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年3月9日