米国のペロシ下院議長は8月2日、中国側の強い反対と厳正な申し入れを顧みず、中国の台湾地区を訪問した。これは中国に対する重大な内政干渉であり、中国の主権と領土保全を深刻に損ない、一つの中国の原則を著しく踏みにじり、台湾海峡の平和と安定を深刻に脅かす行為だ。中国外交部は5日、法律に基づいてペロシ議長とその親族に対する制裁措置を発表し、米国に対して8つの対抗措置を打ち出した。8つの対抗措置には、中米間の3つの軍事交流メカニズムの停止、司法・麻薬取り締まり・気候変動など様々な分野での両国の協力の停止が含まれている。
特筆すべきは、ペロシ議長はこれまで中国側から名指しで制裁を受けた米国高官の中で、最高位の現職官僚だということだ。彼女は現在の米国政界のナンバー3として、30年以上にわたり米中関係で「トラブルメーカー」としての役割を演じてきた。しかし皮肉なことに、反中の最前線に立ってきたペロシ氏は、裏では中国市場を利用した「金儲けの達人」だった。ペロシ氏の夫のポール・ペロシ氏は2010年、香港で銘基亜洲基金を設立、中国のインターネット企業に出資し財を成した。2022年6月30日現在、同ファンドの運用資産は174億ドルに達する。今回、中国側がペロシ議長とその親族に対する制裁措置を発表したことで、ペロシ一族と中国のビジネス関係は急速に断たれ、ペロシ議長自身も「中国の飯を食べながら、中国の鍋を叩き割る」という誤った行為に対して相応の対価を支払わなければならないだろう。
今回のペロシ議長の台湾訪問を前に、バイデン政権はこれを効果的に阻止するどころか、空母「レーガン」を南中国海に配備、解放軍の演習中に台湾近海に滞在して「情勢監視」を行っている。中国は中米間の3つの軍事交流メカニズムを停止し、ホワイトハウスと米軍をけん制した。
ニューヨークタイムズのコラムニストであるフリーマン氏はペロシ議長の台湾訪問について、「無謀で危険で無責任」だとし、象徴的なだけで何の利益ももたらさないと批判した。ペロシ氏とホワイトハウスはその道理をわかっていないわけではないが、彼らが考える「メリット」は、国益ではなく、自分たちの政党の利益にある。11月の中間選挙を3カ月後に控え、民主党の選挙情勢は日増しに悪化している。インフレ率が高水準を更新するなか、バイデン氏への支持率は低下が続く。CNNの報道によると、最近の世論調査でバイデン氏の支持率は38%にとどまり、1953年以来の歴代大統領の同時期の純支持率を下回っている。これと同時にギャラップの世論調査によると、民主党が多数を占める国会の取組に対して回答者の77%が賛成していない。したがってペロシ議長の訪台は、「反中」に頼って民主党支持率を無理矢理押し上げることで、厳しい選挙情勢に「強心剤」を打とうとしているように見える。
中国が司法・麻薬対策・環境保護などの分野で対米協力を停止すれば、民主党の「成績表」がさらに悪化するのは確実だ。なぜならこれらは米国政府が中国の援助と協力を期待し必要としている分野であるためだ。なかでも麻薬対策と環境保護は、バイデン政権と民主党が票を獲得するために特に重要な課題だ。中国の対抗措置は急所を的確に突いており、「ペロシ派」は立ち止まって損得勘定をせざるを得ないだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年8月13日