米国がASEANで反中陣営を構築 流れは形成できず

中国網日本語版  |  2022-09-06

米国がASEANで反中陣営を構築 流れは形成できず。

タグ:ASEAN 戦略 協力 アジア太平洋

発信時間:2022-09-06 16:03:14 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 フィリピンは最近、中国との海上油ガス共同開発の交渉再開を検討している。マレーシアのマハティール元首相は、米国が台湾問題をめぐり中国を「挑発」していると公然と批判し、中国側に寄るようASEANに呼びかけ、かつ米国が地域の緊張をエスカレートさせていると批判した。この2件は表面的にはそれほど強い関連性を持たないが、地域における大国の駆け引きの激化を背景とする、ASEANの戦略的自主性の強靭性を反映した。これはある程度、地域諸国の友好協力の大きな方向を保障している。

 

 バイデン氏の大統領就任後、米政府は「インド太平洋戦略」により、ASEANの政治・外交・安全・経済・人文などへの関与を強めた。特に米国の外交や国防などの部門の高官が、過去に例を見ないほど集中的にASEAN諸国を訪問し、米国とASEANの関係を強化した。これが中国とASEANの関係に対して一定の衝撃を及ぼしたことは間違いない。一部のシンクタンクの専門家と学者は、中国がASEANで形成した戦略的環境が徹底的に破壊されることを懸念している。

 

 実際には米国の意思決定層は、ASEAN諸国が中米のどちらかにつくことはないことをよく知っている。ASEAN諸国の意思決定層は何度も米国側に上述した立場を示している。

 

 歴史と現実の経緯から見ると、ASEANの戦略的自主性は次の3つの面で示される。

 

 (一)地域の利益を優先し、中国とASEANの協力への大国の要素の干渉を効果的に減らす。ASEANの地域協力における中心的な地位を堅持し、非主流化させない。例えば「インド太平洋戦略」の挑戦に対応するため、ASEANは自発的に「ASEAN独自のインド太平洋構想」を発表した。これには「インド太平洋戦略」に対する発言権の強化、ASEANの地域における中心的な地位の強化という狙いがある。その一方で、地域の平和と安定の維持に尽力する。ASEAN創設から50年以上に渡る歩みは、平和と安定が地域の繁栄及び発展の礎であることを示している。ASEANはペロシ氏の台湾訪問を受け集団で声明を発表し、一つの中国の原則を重ねて表明した。各方面に対して最大限に自制を保ち、挑発行為を避けるよう呼びかけた。ベテラン政治家のマハティール氏は米国の挑発行為に非常に敏感で、かつ地域の平和と安定を脅かす事件に懸念を表した。これはASEAN全体の利益に関わるからだ。台湾海峡で衝突が発生すれば、ASEANの繁栄と安定が直接衝撃を受ける。

 

 (二)発展協力を対外政策の考慮の出発点とし、中国とASEANの協力の潜在力を引き出す。ASEANの圧倒的多数の国が発展途上国であり、発展を優先事項としている。発展関連の議題の政治利用と安全利用が、ASEAN諸国の根本的な利益に合致しないことは明らかだ。ASEAN諸国のうちフィリピンは人口が1億人を超える大国で、エネルギー不足が発展の重要な障害物になっている。海上油ガス開発はそのエネルギー不足の現状を効果的に和らげることができる。そのためフィリピンと中国の海上油ガス共同開発は、フィリピンの国益の需要に合致するウィンウィンの結果だ。当然ながら現在は双方の海上油ガス共同開発における法的な壁を打破し、双方が受け入れられるプランを見出し、一日も早く双方に李益をもたらす必要がある。

 

 (三)大国との間でバランスを取る戦略を堅持し、どちらか側につかない。これは中国とASEANの友好協力の安定性を保証している。大国の間でバランスを取ることはASEANの対外政策の原則であり、ASEANの団結を維持するための重要な武器だ。ASEANは世界の主な大国との間で対話パートナーシップを構築している。これはASEAN全体の利益を守り、国民を中心とするASEAN共同体を構築する目標を達成するためだ。中国とASEANの関係はアジア太平洋で最も活力あふれる、最も中身が豊富な関係であり、地域協力においてけん引力と模範効果を持つ。

 

 一部の大国はASEANで中国との断絶もしくはデカップリングを試み、さらには「反中陣営」を構築しようとしているが、これはせいぜいある局面を形成するだけで、流れを形成するには足りない。中国とASEANの友好協力の大きな流れを逆転させることはできない。これはASEANの戦略的自主性が、複雑な国際情勢の変化の中でますますその強靭性を発揮しているからで、大国の破壊的な干渉と競争がこの強靭性を効果的に打ち砕くことはない。


 「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年9月6日

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