文=丁暁星・中国現代国際関係研究院ユーラシア研究所所長
今年は中国と中央アジア諸国の国交樹立30周年だ。中国と中央アジア諸国の関係はゼロから始まり、前進を続け、30年で多くの成果を手にした。中国と中央アジア5カ国は戦略的パートナーシップを結び、中央アジアは中国の「戦略的パートナーエリア」になった。これは中国の周辺では極めて稀だ。中国と中央アジア諸国の関係が30年に渡り急成長を維持し、絶えず新たな成果を手にすることができたのは、正しい付き合い方を見つけたからだ。
(一)平等。国は面積や人口などの差があるが、国家間の協力は平等の上に成り立たなければならない。中国と中央アジア諸国は国交樹立後、平等と互恵の原則を終始堅持している。中国は中央アジア諸国の主権独立と領土保全を強く支持し、各国の内政に干渉せず、中央アジア諸国が自国の歴史と伝統、現実的な国情に基づき選択した発展の道を尊重している。中国は中央アジア諸国の長期安定と繁栄を願っている。
(二)相互信頼。政治の高水準の相互信頼は、中国と中央アジアの関係の大きな特徴だ。首脳外交が重要なけん引力を発揮した。
(三)互恵。中国と中央アジア諸国の経済協力はこの30年に渡り、平等と互恵を基礎とし急成長した。中国と中央アジア5カ国の昨年の貿易額は500億ドルで、30年前より百倍増加した。中国はトルクメニスタン、ウズベキスタン、キルギスタンにとって最大の貿易パートナーだ。中国―中央アジア天然ガスパイプライン、中国・カザフスタン原油パイプライン、中国・キルギスタン・ウズベキスタン道路、多くの工業団地が完成し、中央アジアを経由する中欧貨物輸送班列が急成長している。中国と中央アジア諸国が共に協議し共に建設し共有し、「一帯一路」共同建設が中央アジアで花開き結実している。
(四)互助。感染症の発生後、中国と中央アジア諸国は共に向き合い助け合い、共に感染症と戦った。中国はまた中央アジア諸国に大量の感染対策物資を提供した。中国とウズベキスタンはワクチンを共同生産した。中国と中央アジア諸国は国際舞台で緊密に連携し、多国間主義を主張し、より公正で合理的な国際秩序を主張した。
(五)相互学習。中国と中央アジアの交流の歴史は長い。中国と中央アジア諸国の人文交流水準が近年、上がり続けている。中国は中央アジア諸国で多くの孔子学院を設立した。中国語は中央アジアの若者が学習する人気の外国語になった。中央アジア5カ国から中国を訪れる留学生が年々増加している。中国と中央アジア諸国の文化・芸術・スポーツ交流が持続的に展開され、相互間の理解を促進した。
現在の中央アジアの新たな情勢を受け、中国と中央アジア諸国の協力が中央アジアの安全と安定を維持するため極めて重要になっている。中国と中央アジアの今後の協力の重点には次の4つがある。
(一)善隣友好の持続的な発展。高度な戦略的相互信頼は、中国と中央アジア諸国関係の礎だ。中国と中央アジア諸国は「中国+中央アジア5カ国」メカニズムを十分に発揮し、ハイレベル交流を持続的に強化し、政治的相互信頼を促進する。国政運営の経験の交流を掘り下げ、双方の核心的利益に関わる問題をめぐり断固たる姿勢で相互に支持する。
(二)経済協力の掘り下げ。来年は一帯一路イニシアチブが打ち出されて10周年になる。中央アジアは一帯一路建設の「モデルエリア」だ。中国は中央アジア諸国と共に、中国・キルギスタン・ウズベキスタン鉄道、中国―中央アジアD線天然ガスパイプラインの建設をけん引とし、一帯一路建設の中央アジアにおける高品質発展を促す。AI、ビッグデータ、デジタル金融、EC、グリーンエネルギーなどの分野の新たな成長源をさらに発掘し、共同発展を実現する。
(三)安全協力の強化。中国と中央アジアはグローバル安全保障イニシアチブに基づき、共同・総合・協力・持続可能の安全観を実践する。協力し「3つの勢力」(過激な宗教勢力、民族分裂勢力、テロ勢力)を撲滅し、アフガニスタン問題の解決を促し、地域の恒久の平和と長期安定を実現する。
(四)人文交流の拡大。人文交流は中国と中央アジア諸国の関係における弱点であり、相互理解がまだまだ不十分だ。今後はメディア、教育、衛生、文化、観光、考古学などの分野の協力を拡大し、互いに文化センターを設立し、相互理解と民心相通じるを促進する必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年9月15日