かつて皇族の邸宅で、今は庶民に開放されている美しい庭園・恭王府。その歴史は、清代乾隆年間にさかのぼる。当時の姿を完全な形でとどめており、過ぎ去った200年余りの歳月に歴史的、文化的な重みが感じられる。
恭王府の敷地面積は約6万平方メートル。脚を踏み入れると、雄大な建築物が目に飛び込んでくる。優れた工芸技術に精巧な配置、交錯する楼閣。至るところに皇室の庭園としての輝きと華麗な風格が漂う。中軸線の両側に、東西南北に家屋が並ぶ典型的な四合院が南北に4棟ずつ立っている。現存する建物の面積は1万2000平方メートル。皇室の風格と厳粛さ、民間建築の精巧さと装飾が織り成す「王府」の文化が最大の特徴だ。
一般に開放されて以降、恭王府では清朝の庭園がもつ魅力を活用
した生け花展、盆栽展、日本の茶道展、フランスの芸術家の公演など、対外文化交流活動が行われてきた。庭園にある「劇楼」で京劇も演じられることで、恭王府は国粋芸術を発揚する“窓口”ともなった。恭王府は、お茶や北京特有の軽食を味わいながら園内を散策し、民俗公演を観賞する観光コースを開設。また恭王府が果たした政治的役割、社会・文化的生活を紹介する「清代王府文化展」を常設展示されている。
「チャイナネット」2004年12月