富士山と桜
日本最南端の沖縄は、2月、最初の桜が咲いた。さくら前線は勢いをつけて北上し、5月半ばの北海道でやっとゆるりと終わりと告げるのだ。この間、日本人でなくても、満開の桜とその散る姿に酔いしれ、無数の薄紅色の花びらに心の最も細やかで柔らかいところを揺さぶられる。海外からの観光客も、この時期は次々と日本を訪れ、その震えるような美しさを味わう。日本人の桜に対する厳かなほどの愛情と価値観における共鳴は、独自の情緒を生み、花見は日本の独特な文化になっている。その場を訪れた者だけが、その身で感じることができる。