「やっと海外旅行に行けるようになった」。30回以上連続でツアーに参加した70歳近くの楊さんは感慨深げに言った。2月6日10時40分、楊さんを含む24人の中国人旅行者が春秋9C8521便で上海浦東国際空港第2ターミナルからタイのプーケット島に向かった。中国が海外ツアーを再開して、浦東空港を出発した最初の海外ツアーとなる。
2月6日、中国は全国の旅行会社と旅行サイトでの中国公民のツアーと「航空券+宿泊」セット業務を試験的に再開した。今回再開した国は20カ国。また、香港・澳門地区の出入国ツアーも再開した。海外ツアーの通関作業を着実に行うため、上海空港の出入国検査機関は国家移民管理局の移民管理政策措置合理化を実施し、航空会社や旅行会社と連携し、海外ツアーの規模を事前に把握し、通関手続きの合理化を行った。また、誘導にあたる警備員を追加配置し、旅客が団体検査ゲートに正確に進み、待ち時間を節約できるようにした。検査場を通過する旅客状況をリアルタイムで観察しながら検査ゲートを開き、旅客が安全にスピーディーに通関手続きができるようにしている。
国連世界観光機関の統計によると、新型コロナウイルス流行前、中国は世界の最も主要な海外旅行消費国の1つだった。防疫対策の見直しは、中国と世界の観光業に良い影響を与えるとみられる。
各国が中国人観光客の増加に期待
在中国スイス大使館は中国網の取材に対し、以下のように述べた。最初に再開された20カ国のうち欧州からは3カ国だけで、スイスはその1つである。このことはスイス大使館とスイス観光局のSNSで広く注目を集め、反響があった。1月11日、スイスは中国からの旅行者に新型コロナウイルス検査を強制しないことを発表した。スイスは中国人旅行者が戻ることに期待しており、スイス大使館はコロナ前のビザ手続き能力の回復に努めている。また、観光業の回復に向けて最大限の努力をしている。スイスはこの3年、「Swisstainable(サステナブルなスイス)」を掲げ、スイスの1500社近くの観光業関連機関が参与し、回復しつつある中国市場サービスに期待を寄せた。スイス大使館は、個人旅行者、ビジネス旅行者、ハイエンド旅行者は、これらのニッチ市場の理想的な目的地であるスイスをまず訪れると見込んでいる。アルプス山脈はスイスの主な自然観光地の1つで、多くのスキー場で中国人の姿を見ることができる。そのほか、中国人旅行者はスイス観光通行証を持っていれば公共交通機関で全国を周ることができる。
在中国カンボジア大使館の観光事務職員である丁義診氏も中国人旅行者が戻ることに期待しており、以下のように述べた。春節期間、カンボジアを訪れた中国人旅行者数は回復し始めた。これは良いスタートになった。中国の海外ツアー再開は、カンボジアなどの目的国に中国人旅行者を再び迎える新たなチャンスを与えた。2022年に開放再開を発表して以降、カンボジアは旅行の便宜化を進め、健康関連の制限条件を廃止した。そのため、カンボジアは最大の友好と情熱をもって中国の投資家と旅行者を迎えられることを非常に嬉しく思い、その準備を進めている。健康関連の制限条件は一切設けない。カンボジア側は中国人旅行者とその他の海外旅行者を迎える十分な準備を整えた。
海外ツアー人気が高まり続け、多くの国が中国人旅行者が世界の観光市場に戻ることに期待している。バンコクのスワンナプーム国際空港で、タイの副首相兼保健長官、交通長官、観光・スポーツ長官一行はツアー再開後最初にタイに入国した中国人旅行者を出迎え、花かんむりや記念品などを贈った。モルディブのヴェラナ国際空港はウォーター・サルート(水門礼)を特別に催し、中国のコロナ対策見直し後の最初のモルディブ直行便を最高クラスで歓迎した。
旅行会社の海外ツアー業務が再開
中国康輝旅遊集団の張楠副総裁は取材に対し、昨年12月以降、国は観光市場促進のための政策を頻繁に打ち出し、各国のビザ手続きに関する問い合わせが増えたと話した。中でも、文化・観光部が海外ツアー再開を発表して以降、グループ本社の公式サイトと地方の康輝会社の統計によると、検討中の旅行者から目的地リスト内の国のビザ手続きに関する問い合わせが急増した。問い合わせ件数トップ3はタイ、モルディブ、バリ島となっている。また張楠氏によると、春節連休中、北京大興空港からマレへの直行便が就航し、1月18日、22日、27日の3便の航空券は4日以内に完売し、旅行商品の売れ行きも好調だった。2月6日から、毎週水・金・日曜に北京大興からマレへの直行便を運航する。
環球假期(北京)国際旅行社有限公司の張海朋社長は、観光市場は出国ブームを迎え、オフラインの問い合わせ件数も右肩上がりで、観光業従事者の8割近くが職場復帰すると話した。
北青旅の販売部門の王小瑶氏も、情報が出てすぐに、会社のサイトで関連の検索、問い合わせ、常連客のアクティビティが大幅に高まり、中でもビザ業務は突然激増し、海外旅行に関する問い合わせは国内旅行を上回ったと話した。
北京浪漫天下国際旅行社有限公司は主にロシアツアー業務を行っている、張華恩社長は取材に対し、対応と準備を行い、ロシア現地の受け入れ態勢を整え、中国人旅行者をいつでも迎えられるような状態になったと話した。衆信旅遊集団ブランド部広報担当者の李夢然氏は、「弊社は1月8日にロシア観光広告で市場を温め始め、大量の相談を受けた。海外ツアー業務に期待している。弊社のロシア商品部門は現地の各供給業者と連絡を取り、受け入れ作業を全面的に進めている」と述べた。李夢然氏は、近頃の航空輸送能力の回復とビザ業務の実施に伴い、海外旅行市場はさらに向上し、今年のメーデーまたは夏休みに海外旅行市場の変化を大きく感じると予想している。
エジプトの旅行会社イール・ガーデンの担当者は以下のように述べた。観光業はエジプトの基幹産業の1つで、エジプトの観光業にとって、中国市場は非常に重要で潜在力のある市場。中国の海外ツアー再開は喜ばしいことであり、中国人旅行者が戻ってくることで、この業界を守る我々は希望の光を見出すことができた。
海外ツアー政策の調整後、中国人旅行者は世界観光市場で再び活発な動きを見せている。北京の大学院に通う鐘さんは2月下旬に同級生と一緒にタイとラオスに行くことを計画している。「ずっと行きたかったが、新型コロナの影響があり不便だと思っていた。ようやく再開されて本当に嬉しい」と興奮気味に言った。
今年24歳の李紫楊さんは、大学でラオス語を専攻し、現在は教育メディアの仕事をしている。在学中、李紫楊さんはラオスに6カ月間留学していたが、勉強が大変で新型コロナウイルスが流行し始めていたため、多くの場所に行けずに帰国した。「帰国後もずっと残念に感じていたため、海外ツアー再開を知った時は本当に嬉しかった。同窓生にニュースをシェアし、以前住んでいたところを一緒に再訪できたらいいと思った」と話す彼女は、4月に母親とロシアに行き、水かけ祭りを楽しみ、過去の無念を晴らすという。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年2月8日