中国の声(世界中国語ラジオ放送)によると、このほど武漢市で開かれた「制服人気コンテスト」に関する話題がネット上の父兄の間で盛り上がっているという。名門校の制服はとても綺麗で、はつらつとした体操着に対する親からの人気も高い。しかし一方で、その子どもたちからは、「ぶかぶかの体操服や色やデザインの同じ制服なんて着たくない」という声も聞かれる。
世界の人は制服についてどのように見ているのだろうか。名門学校の制服は他の学校の制服とどう違うのだろうか。英国、日本、米国を比較してみた。
【英国】
英国は制服の歴史が最も古い国である。その歴史は5百年にも及び、制服の色は青を基調としている。ある資料によると、英国の制服の歴史は16世紀にロンドンのキリスト教病院慈善スクールが孤児や貧困層の子どもたちのために支給したのが始まりだとされる。当時、すべての子どもは青いコートを着ており、とても目立ったという。
現在の制服の色が青なのはその当時に由来している。その後時代とともに、英国の制服の色や素材やデザインなどは英国の政治歴史風俗とともに変化してきた。
1950年代になると冬服と夏服を分ける学校も誕生。やがて現代の英国風制服の形となった。小学生が上着を着てネクタイを締めるのは英国の普通のスタイルである。実際、英国人は、制服を着ることで児童たちに自分の身分に対する誇りを植えつけることができ、学校のルールを守らせることに役立つと考えている。同じ学校の仲間という意識を持たせることで、児童たちの関係も良くなるという。
制服のデザインや値段については、公立と私立では当然異なる。公立学校では多くの家庭が負担できる範囲の価格に設定。一方私立学校では、デザインの細部まで凝っていて、素材も高級ウールなどの天然素材が用いられ、縫製も精緻である。制服の隅々まで学校の校風が感じられ、価格は極めて高価である。
大学に入ると、制服を着る必要はなくなる。しかし多くの学生は自分の大学のネームが入ったパーカーを着ることなどで、自分の大学のカルチャーに誇りを感じたり、帰属意識を持ったりするようだ。中高校の時ほどではないが、多くの学生もこれを気に入っており、中には、大学を卒業して何年か経ったあとでも、街角で同じ大学のパーカーを着た人を見ると、親しみがわくという。
【日本】
日本の私立学校の綺麗な制服は生徒を集めるための重要な要素である。ズボンの制服の女子学校は極めて人気がない。しかし大学生になると、冬はズボン姿の女学生が急に増える。特に大学院生になると、スカートとタイツというスタイルで冬を過ごす。
日本は幼稚園の時から制服があるが、小学校になると、公立では制服がなくなり、私立の小中学校では制服を着なければならない。制服と体操着は分かれているが、色は合わせやすい、落ち着いた青がベースになっている。着心地は動きやすく、よごれも目立たず、すぐ乾く素材が用いられている。制服は生徒にとって、通っている学校を表すだけでなく、ファッションでもある。
女子生徒の制服は流行にあまり左右されないように、ほとんどがセーラー服である。1年中、短いスカートにソックスという姿だ。男子生徒の制服中山服(人民服)に似ており、胸には学校のバッジをつけている。女子の制服は可愛らしさ、男子の制服はりりしさを表しており、男女の違いが子どものころから自然に理解されるとしている。日本の多くの生徒は制服を気に入っており、学校を卒業してからも休みの日などに制服を着る人もいる。
制服の機能性は高く、値段も高い。縫製はふつう学校が委託した専門業者で行われ、デザインは一度決定されれば変わらない。現在、日本の大量生産品は海外で作られるが、制服だけは国産である。
【米国】
米国の学校は生徒の服装について割りと自由である。州や学校によって生徒の服装に対する要求はまちまちである。しかし制服を全く着なくてもいいわけではない。米国の制服は普段の服装よりも安く、保護者の負担を軽減している。このことが、制服が広く受け入れられている大きな原因でもある。
また制服は学校の中である種のバランスをとる役割を果たしているとされる。経済環境の異なる生徒の間の格差を少なくし、生徒の間の比較意識を弱めることができるからである。
米国で制服があるのは、私立・上流階級・教会関係のスクールなどであった。しかし最近は公立学校でも制服を導入し始めている。米国国民が制服に支払う1年間の費用は総額で10億ドルといわれている。こうした動きついて米国には賛成と反対のふたつの意見がある。賛成派は生徒に仲間意識が生まれて、勉学に集中できると強調する。一方で反対派は、生徒の自己を主張する権利が失われかねない、憲法違反だと指摘する。こうした考え方の違いがあるものの、現在より多くの学校が制服を取り入れている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年1月23日