客観的な判断を
コストの変化により外資系企業の中国市場からの撤退が促進されたという状況に対して、客観的な判断を下すことが必要だ。第一に、労働集約型産業が雪崩を打って撤退し、労働力コストが安く、優遇税制が設けられ、環境基準が緩い場所へ移転するのは当たり前のことだ。中国にとっては、労働力や土地資源、環境的要因などを犠牲にして、海外資本を引き留める必要性はまったくなく、引き続き中国にとどまる優良外資系企業に対する保護と支援を強化すればよい。第二に、国レベルでの移転と地域レベルでの移転を区別する必要がある。国を超えた移転は一国の政策でどうにかできるものでないが、外資系企業の国内の地域間での移転は効果的な政策による指導が可能だ。こうした移転の流れは地域経済の再分業や産業構造の合理的調整にプラスになる。第三に、適応型移転と拡張型移転を区別する必要がある。コストや環境基準を回避するための適応型移転については、マクロ政策で強制することはできないが、研究開発機関を中国に残し、生産設備を他国に移転させる拡張型移転に対しては、政策により適切な支援を行わなくてはならない。だが、労働集約型産業の移転は産業の空洞化を招き、大量の失業者を生み出す可能性あることは認めなくてはならない。
「人民網日本語版」2008年3月4日
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