穀物価格の高騰がもたらす問題に、世界各国はどのように対応すべきだろうか。中国は穀物不足の危機に直面するだろうか。このような問題をめぐり、「国際先駆導報」は10日、国際連合食糧農業機関(FAO)アジア太平洋地域事務所の何昌垂代表(総幹事補佐)にインタビューした。主な内容は次の通り。
――今回のコメ価格上昇によるコメ不足と以前のコメ不足とでは何か違いがあるか。
第一に、私は今回の事態を「コメ不足」と呼びたくない。現在、世界のコメ市場は需要・供給ともに不足気味だが、全体としてみれば、1970年代のように餓死者が続出するという現象は起きないだろうし、起こるはずもない。当時に比べて、現在各国は問題解決の力を備えている。アジアについていえば、貧困のレベルも貧困人口数も70年代とは比べものにならない。
――今回の穀物価格上昇は、ベトナムなどの国で虫害が発生したためだという意見がある。
価格上昇の原因を特定の国に単純に帰結させることはできない。現在、影響を与えている要因はさまざまあり、そのうち最も中心的な要因は農業生産コストの上昇だ。国際原油価格上昇の影響を受けて、化学肥料などの農業用生産資材価格が上昇し、農業生産に必要な交通・輸送や貯蔵・保管などのコスト、さらには殺虫剤などの基本的生産資材を含むさまざまなコストがいずれも上昇している。第二に、天候の災害により多くの国で農産品の生産量が減少している。第三に、穀物備蓄量が減少している、といったことなどがある。
ここしばらくのコメ価格の非理性的な高騰は、一部の国の政策措置と直接的な関係がある。主要なコメ輸出国のいくつかが輸出を制限したため、コメ輸入国に心理的な反応を呼び起こし、輸入注文が増加した。こうして需給の矛盾点が拡大した。
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