上海のケース:住宅購入資金を天引き準備する人も
上海市の不動産仲介業者によると、北京市と同じく昨年10月に、実質的な意味での株投資家が株式市場から不動産市場へ移るという現象が起きた。同市の中原地産の瞿玲虹口区エリア総監は「当時の中古不動産市場には多くの予兆がみられた。たとえば大型物件が相次ぎ成約した。市場に後押しされる形で、売り主が価格をつり上げるという契約違反もたびたび起きたが、株式市場で十分な利益を上げた購入者側はこれを何とも思っていなかった」と話す。
現在市場に参入している不動産購入者は、大部分がとのニーズに基づいて購入しており、さらには不動産投資用の資金を天引きで準備し
てきた人もおり、こうした資金は不動産市場から移ってきたものとはいえない。漢宇地産世博支店聯洋エリアの李運志董事(理事)は「投資として不動産を買う習慣はこれまでなかったものだ。価格が安く、立地がいい物件が主な取引対象だ」と話す
ある仲介業者は「昨年には物件価格が取引過程で何度も引き上げられるという現象はみられなかった」とし、「ある顧客は160万元の物件を購入するつもりだったが、現在私たちには140万元かそれ以下で買い付けるよう要求している」と話す。資金面での困難さがうかがえるケースだ。
先の投資ニーズによる市場の変動とは異なり、3月には上海の中古不動産市場は取引量が落ち着くとともに、価格は緩やかな上昇を示した。季節的にみてまもなく不動産市場は繁忙期を迎えるが、4月の市場は取引量も取引平均価格も前月比1~2ポイントの上昇にとどまった。李董事は「市場は非常に理性的だ」と指摘する。
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