招商銀行の香港業務の分野は、香港で上場している中国系6銀行(中国銀行、建設銀行、工商銀行、交通銀行、招商銀行、中信銀行)のうち最も弱いものであった。招商銀行香港分行は、香港金融管理局が交付する全ての証書を持っているが、営業支店、営業ルート、人材などの原因により、今のところ、小売業と一部の会社の業務を展開するにとどまっている。一方、香港で75年の歴史を持つ永隆銀行は35店の分行を持ち、当地では著名な同族経営銀行だ。招商銀行が買収に成功すれば、それらの基礎は、同銀行の香港での業務展開に大いに力を貸すことになるだろう。
永隆銀行側の管理層も、この買収の機会に乗じ、中国大陸部での発展を希望している。招商銀行が大陸部の同業界における確固たる地位と優位性を有するもので、両行の発展目標、顧客開拓、ネットワーク共有化など、共に結びつくものである。招商銀行が最終的に競り勝ったのは必然のことといえよう。
永隆銀行が3月に自社株売却の情報を伝えてから、当行の株価はずっと上がり続けている。2カ月半という短い期間に、株価は数倍に膨れ上がった。5月30日の取引停止前には、永隆銀行の株価は147・4香港ドルであった。この度の競争入札において、招商銀行が提示した価格は一株あたり156.5香港ドルで、他の入札者の中でも最高値であった。この価格は、永隆銀行の2008年第1四半期のPBR(株価純資産倍率)の3.1倍である。
|