昔の北京の経済的・文化的な財産に話が及ぶたびに思い起こされるのは、同仁堂、全聚徳、栄宝齋、張一元といった老舗だ。こうした老舗はわが国の商業文化の粋であるだけでなく、北京の伝統的で特色ある経済の貴重な資源でもある。北京五輪はわが国の特色ある経済に世界進出の好機をもたらした。(文:周清傑・北京工商大学産業経済研究センター副教授)
北京の老舗の多くは明・清代に創業され、その家族経営は商業経済に鍛え上げられる中で、優れた中国の商業文化を形成した。だが、新中国成立後の公私合営と国有化のうねり、そして市場化へ進む中で、その相当数は没落していった。資料によると1990年代に認定された老舗1600社余りのうち、財産権・運営体制の改革を通じて大きな成長を遂げたのは10%しかない。同仁堂や全聚徳は、その数少ない成功例だ。すでに破産した、あるいは破産間近の老舗、なんとか経営を維持している老舗を仔細に研究すると、いくつかの共通点が容易に浮かび上がる。経営者の市場意識の低さ、革新意識の欠如、市場の変化への不適応。財産権の関係が曖昧、賞罰制度が整っていない、活力に欠ける。財産権の保護がなっておらず、無形資産の異常な流失を招いている――などだ。このほか、わが国の他の中小企業と同様、資金・人材面のボトルネックも、老舗の再生を阻む重要な原因となっている。
現代市場経済の条件の下で運営する企業として、劣った企業の淘汰、適者生存が鉄則であることを認めなければならない。老舗が再び輝きを取り戻すには、まず市場の基本規則に従い、体制・製品・流通の革新といった手段を活用して、市場への適応力を高めなければならない。オリンピックは巨大なビジネスチャンスを秘めている。北京の老舗は主催地の利を活かし、この得難い発展のチャンスを捉えて、飛躍的な発展を遂げることが可能だ。経営難で変化を求めている老舗にとって、オリンピックは天が賜いし好機かも知れない。
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