(2)ウォール街の厳しい就職状況
ちょうど運悪く、07年8月からウォール街の就職状況は悪化を始めた。サブプライム問題が浮上し、大手投資銀行がリストラを開始した。この状況は今でも続いている。
米ニューヨークのデイビッド・パターソン州長は今月15日、「投資銀行のリーマン・ブラザーズなど金融機関が相次ぎ危機的な状況に陥り、ウォール街では約4万人が失業の危機に立たされている。また、ウォール街の金融機関にサービスを行う業界も危害を被っている。これらサービス業を含めると、失業者は12万人に上る恐れがある」と発表した。
田さんは現在、同窓生に連絡を取ったり、ヘッド・ハンティングを探したり、求人広告を見たりと様々なルートを通じて就職情報を集める、忙しい日々を送っている。この2週間にニューヨークの各投資会社のトップに直接自己PRのメールを送信。その数はすでに数百通に上るが、効果はあまり出ておらず、ほとんどが大海の一滴と化してしまう。返信が来ることもあるが、「会社が小さいので現在は求人を行っておりません」とか、「考えておきます」という内容だ。
「現在求人があるのは、小規模の投資銀行か、資産管理企業ぐらいだ。大企業はまったく望めないよ」という田さんも、何度か面接の機会に恵まれ、喜び勇んで約束の場所に向かうものの、そこには面接に来た求職者で長蛇の列といった状況だ。1つのポストに数千人が飛びつく有様で、希望が持てたものではない。ウォール街に残れる中国人MBAはもともとごく一部。英語がどんなに流暢でも、白人と踏み込んだ意思疎通をするのはやはり困難で、競争力には限界があるという。今回のウォール街の混乱に巻き込まれた華人は少なくない。なかでも、最も悲惨なのが卒業したばかりで、仕事経験もなく、貯蓄もないグループだ。職を失えば生計の維持も難しくなる。仕事経験豊かな失業者は経済的な基盤があるため、数年仕事がなくても平気だ。この機会に学校に通ったり、思い切ってバカンスをとったりして、状況の回復を待てばいいのだ。
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