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10月中旬以降、世界金融危機は新たな段階に突入した。先進国の実体経済が大きく低迷し、消費が落ち込み、商業投資が減少し、失業率が上昇した。危機の影響は新興経済体にも急速に及び、各国は外資導入額が減少し、融資コストが上昇し、一次製品価格が大幅に低下し、輸出が低迷した。そこで各国の中央銀行は相次いで金利を大幅に引き下げた。
金利引き下げや資金の流動性を高めるその他の通貨政策が、金融市場の安定をはかり、需要を喚起する上で一定の役割を果たした。だが今回の数十年に一度といわれる世界的な金融危機においては、通貨政策だけで消費と投資ニーズの低迷を効果的にくい止めるのは難しい。金利をかなり低い水準まで引き下げ、銀行システム内での資金の流動性を絶えず強化したとしても、消費者と投資家の失った信頼感は取り戻せず、実体経済における通貨ニーズを伸ばすことはできない。デフレ出現の可能性もある。
こうした状況の下では、財政政策によってニーズを喚起する必要がある。政府はインフレ投資や公共サービスの支出を増やし、中央銀行が銀行システムに投じる資金を実体経済に反映させ、雇用を増やし、所得を引き上げようとしており、最終的には消費者と投資家の信頼感が回復し、経済低迷からの脱却が可能になると見込まれる。
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