(3)三番目は日中の一層の連携強化の必要性です。
21世紀はアジアの世紀と元々言われていますが、今回のアングロサクソン型金融資本主義の失敗を見るに益々この感を強くしています。この様なアクロ環境の下でアジア経済の連携強化には真剣に取り組むべきと思います。その為には先ずアジアのリーダーである日中両国がアジア強化の目線でもっと連携を深めるべきだと考えます。日中連携、日中韓連携、ASEAN+3等掛け声は掛かっていますが、今一つ中身のある進展がないのはどうしてでしょうか?今回の金融危機で世界経済のリード役を米国に任せ切りにはできないことがはっきりしたと思います。アジアがその経済的な力に相応しいコアになっていくことが必要です。言うまでもなく米国経済は遅かれ早かれ立ち直り引き続き世界最大の経済大国として重要な役割を果たしていくでしょう。グローバル経済の安定・発展の為にはアジアが米国・欧州と緊密に連携する必要があることは当然ですが、その前提の下でアジアはもっと役割を高めるべきであるというのが申し上げたいことです。
今年5月の訪日の際胡錦濤国家主席は日本の経済5団体との昼食会に於いて日本の経済界に対し、(1)省エネルギー・環境分野での協力 (2)中国の地域発展への日本の参画 (3)両国の企業協力の推進 (4)アジア地域とグローバル経済での協力強化、の4点を提案されました。これに答える形で9月に日中経済協会が訪中し、「日中関係新次元への展開」と題する提言書を胡錦濤主席や李克強副総理に直接お渡ししました。私もこの提言作成委員の一人でありました。提言内容は多岐に亘る為詳細は省きますが、一つだけご紹介しますと、日中のビジネス界のリーダーが本音で議論をする場を持ち、新次元での日中協力のあり方を示す「総合ビジョン」を作り上げ共有したいと提案しています。私もこのような試みに何らかのお手伝いができればと思っております。
(4)最後に四番目ですが、それは中国の民主化努力に対する期待感です。
私は中国の経済的発展に基本的に不安は抱いていません。ひとつだけ是非お願いしたいと思うのは、「民主化」を進めて頂きたいということです。中国の実情に合わせ時間が掛かっても止むを得ないと思いますが、「民主化」の方向に着実に歩を進めてもらいたいということです。「民主」に東も西もない、資本主義も社会主義もないと私は思っています。胡錦濤主席の「人本主義」「調和社会」の理念から中国は必ずや民主化を進めていかれるものと信じていることを申し上げて私の話を終わらせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。
「人民網日本語版」2008年12月10日
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