金融危機は局地的だが、経済危機は「グローバル」なものだ。11月の主な統計データに示される大幅な下落は中国経済に経済衰退の影を落とした。唯一喜べるデータといえば、社会消費品の小売総額が前年同月比20.8%増だったことだ。しかも今年に入って以来20%以上の成長を維持しているのは予想外のことだ。中国では投資率が高いわりに消費率が低いという非難が強いが、統計によると、07年の消費は国民総生産(GDP)に貢献し、01年以来初めて投資を追い抜き、経済成長を引っ張る第一の原動力となった。「上海証券報」が伝えた。
もちろん経済成長方式が変わりつつあるとは断言できない。ここ数年最終消費率は依然下降傾向にあり、00年の60%から現在では約36%にまで落ち込んでいる上、住民収入の伸び率は政府財政収入の伸び率をずっと下回っているため、消費成長を引っ張る主体は住民ではなく政府である可能性が高いとされる。
社会科学院が発表した最新の「社会青書」によると、今年都市部住民の平均収入の伸び率は半分の約7%ほどに落ち込む見通しで、農民の純収入の伸び率もこれまでとほぼ一定で約7%にとどまり、収入の減少が消費のさらなる増加にブレーキをかけることになるだろう。
積極的な財政政策の実施に向け、中央経済工作会議では、中央政府の投資規模を拡大すると同時に、構造的な減税を実施する方針を打ち出した。現状では構造的な減税は増値税の転換や一部製品の輸入関税の減税など企業にのみ体現されているが、住民を直接対象とする所得税と消費税(自動車の消費税と購入税など)は何ら措置が講じられず、不動産業界の取得税や営業税などで優遇が図られただけだ。
短期的にみるなら、内需拡大にとって最も重要なのは個人所得税の調整だ。個人所得税は税収に占める割合が7%程度のため、課税下限の引き上げ、税率等級の減少、限界税率の低下はいずれも実行可能な選択肢といえるし、政府の税収を大幅に揺るがすこともない。長期的に見るなら、医療や高齢者の社会保障システムを急ピッチで整える必要がある。危機を前に、最も自信が必要なのは最終消費者である住民であり、住民の自信が今後は黄金よりも貴重になってくる。
「人民網日本語版」2008年12月22日 |