ホーム>>経済>>視点
来年の中国経済は期待できる 社会科学院専門家
発信時間: 2008-12-22 | チャイナネット

中国経済は現在、国際金融危機の急速な広がりや世界の経済成長の明らかな鈍化などの影響に加え、国内の経済生活にも深層レベルで未解決の問題点が横たわるなどしており、経済運営の困難さが増し、景気低迷の圧力も高まっている。中国社会科学院(社会科学アカデミー)経済研究所マクロ経済学研究室の張暁晶主任はこのほど、当今の経済情勢をめぐる問題について人民日報の取材に応えた。

▽成長の維持、内需の拡大、構造の調整は今後一時期の経済の主題

??現在のようなとりわけ困難な時期にあって、国内・海外から中国中央政府の経済政策に高い関心が寄せられている。政策は中国経済の動向に関わるからだ。(2009年度の経済業務をめぐる政策決定を行うためにこのほど開催された)中央経済工作会議で成長の維持、内需の拡大、構造の調整といった経済政策が提起されたのはなぜか。内需拡大、構造調整、成長維持の関連をどのようにみるか。

私のある友人が最近ローンで家を買い、毎月約3千元を返済しているが、一家に重大な異変が起きた場合、たとえば夫妻のどちらかが職を失うなどした場合は、ローンが返せなくなる。このような人はあらゆる手段を講じて「成長を維持する」べきだろうか。現在、中国の経済発展は国際金融危機という重大な異変に直面している。これに加えて、中国の経済成長モデルは転換のさなかにあり、経済構造の矛盾は改革開放の30年間における継続的調整を経て、徐々に改善されてはいるものの、構造的矛盾はなお目立ち、景気低迷圧力も高まっている。

成長の維持は来年の経済業務における主要任務だ。内需拡大は成長維持に向けての根本的な道のりであり、構造調整では経済発展の質の重視がポイントになる。成長維持、内需拡大、構造調整は今後一時期の経済の主題になる。

▽09年経済に2つの支え、来年の困難を予測すべき

??一部の国際機関が、たとえば世界銀行が、来年の中国の経済成長率予測を下方修正した。来年の経済情勢をどうみるか。

その通りだ。世界銀行は中国の来年の経済成長率予測を7.5%に下方修正した。もっと引き下げた国際機関もある。私は、来年の中国は8%以上の経済成長率を維持できると考える。

第一に、中国経済の基本的側面は依然として順調だ。今年の中国は大雨・大雪・凍結災害、地震災害、米国金融危機といった打撃に見舞われたが、国民経済は引き続き順調な発展傾向を維持しており、第1潤オ第3四半期(1潤オ9月)の国民経済成長率は9.9%に達した。農業生産は5年連続の豊作で、都市部の固定資産投資の規模は引き続き拡大し、物価は継続的に低下している。今年の国内総生産(GDP)は26兆元を突破し、財政収入は6兆元に達することが見込まれる。

第二に、緩やかな通貨政策と積極的な財政政策が今後、国民経済の発展に良好な推進作用をもたらすと見込まれる。今年9月以降、中央銀行(中国人民銀行)は預金・貸付金の準備率をたびたび引き下げ、商業銀行の支払い準備率も引き下げた。同時に、国家発展改革委員会と財政部は、投資の増加、内需の拡大、消費の促進といった一連のマクロ調整措置を打ち出すとともに、投資による国民経済の安定的成長の牽引、保障に努めてきた。また来年から増値税(付加価値税)のモデル転換改革を全面的に実施して、企業負担を19億元削減する計画だ。

私たちは外部条件や内部条件の重大な変化に注意し、国民経済が発展への途上で直面する問題を十分に予測するべきだ。国際金融危機は中国の実体経済にも波及しており、財政面に影響がはっきり表れている。今年11月の財政収入は前年同月比3.1%減少し、2カ月連続での財政収入のマイナス成長となった。よって来年の困難を十分に予測することが必要になる。

▽インフレ情勢が緩和、デフレ防止が必要

??国家統計局が発表した最新のデータによると、11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.4%上昇し、上昇率は22カ月ぶりに最低を記録した。こうした現象は、中国のインフレ情勢が全面的に緩和されたことを示すものではないか。

CPI上昇率が2月の8.7%から11月は2.4%に低下したことは、マクロ調整が実際に挙げた成果の一つだ。当然ながら、CPIの低下は、国際金融危機による外部需要の縮小や内需の力不足といった要因にもよるものだ。

国際状況をみると、石油価格は1バレル147ドルから現在は約40ドルまで低下した。農産品価格もさらに下がる見込みで、綿花、植物油原料、大豆などの農産品価格が大幅に低下しており、国内の農産品価格は安定に向かうと同時に、値下げ圧力にさらされてもいる。工業製品出荷指数(PPI)の上昇率は今年最高だった8月の10.1%から11月は2%に低下し、こうした低下傾向と減少率には警戒が必要だ。今の時期には、経済運営におけるデフレ局面の出現に十分に注意し、防止しなければならない。

現在すべきことはやはり内需拡大、投資の増加、構造調整だ。消費についていえば、信頼感の維持が必要だ。国家統計局が発表したデータによると、1潤オ11月の社会消費財小売総額は累計9兆7759億2千万元に上り、前年同期比21.9%増加した。投資についていえば、より信頼感を維持することが必要だ。今後2年間に(中央政府が)新たに打ち出す4兆元の投資や各地方政府が予定する新規投資を合わせると総額10兆元を超えるとみられ、マクロ調整が適切に行われれば、デフレ局面は避けられる見込みだ。三大需要に力を入れれば、中国経済は安定的な急成長を維持することができる。来年は期待できる一年になるとみられる。

「人民網日本語版」2008年12月22日

  関連記事
  同コラムの最新記事

· 世界金融危機は大恐慌につながらない

· 富豪出身校調査:北京大学は億万長者の揺りかご

· ある米国人が見続けてきた中国の30年

· 経済国際化へ「3つの認識問題の解決必要」専門家

· 来年の中国経済は期待できる 社会科学院専門家