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近い将来、「人民元経済圏」は出現するか?
発信時間: 2009-01-12 | チャイナネット

米国金融危機が世界にもたらしたダメージを受けて、世界の国々は次のことを認識するに至った。一国の通貨を土台として世界的な決済システムを構築して、同国と世界経済の動きに従っていくことは、不安定で不確実なことであり、これでは真の意味で世界経済のさらなる全面的な発展を推進することも難しくなる。世界は今、多元的な国際通貨決済システムを必要としており、こうした状況の中で人民元の地域化や国際化の実現が見通される。そう遠くない将来、人民元を主要決済通貨とする人民元経済圏が出現する可能性がある。

現在、人民元は中国周辺国家で広く流通しており、国境貿易取引で大量に使用されているほか、ここ数年は大陸部の観光客が大陸部外で巨額の人民元を消費している。人民元は長年にわたり価格の安定を保ち、東南アジア地域では日本円を抜いて「第二の米ドル」と呼ばれるようになった。中国経済の実力が急速に高まり、貿易や金融分野の開放レベルがますます向上し、金融をめぐる環境が段階的に改善されるのに伴い、人民元の地域化・国際化の条件が一層整ってきた。将来的に国際通貨システムにおける重要な通貨となることは確実で、中国もより積極的かつ主体的に国際金融システムの改革に参与するようになり、世界経済の安定的成長にふさわしい貢献をするようになることが予想される。

2008年12月24日に開催された国務院常務会議では、広東省、珠江デルタ地域と香港澳門(マカオ)地域、広西チワン族自治区、雲南省と東南アジア諸国連合(ASEAN)との貨物貿易で、人民元決済を試験的に行うことを決定した。今回の試験的決済は規模が1千億元を超えており、限られた範囲での試験的決済ではあるが、中国政府が人民元の国際貿易決済ツール化を推進する上で、重要かつ実質的な一歩を踏み出したことを示している。これに先立ち、中国はロシアと合意を結び、今後は両国の中央銀行によるルーブル・人民元決済業務を拡大することを決めた。韓国との間でも二国間通貨相互両替合意を結んでいる。

人民元の地域化、国際化の歩みが加速するのに伴い、1カ所ないし2カ所の人民元国際決済センター設立が急務となっている。上海と香港はいずれも国際貿易が発達した地域であり、人民元による国際貿易決済を推進する上でそれぞれに長所を備えている。香港は開放の歴史が長いうえ、大陸部から独立した国際化された金融市場があり、1990年代以来長期に渡り人民元の域外市場が存在してきたという強みがある。人民元の国際化が一歩ずつ順を追って進むのに伴い、香港は中国金融の前進基地としての役割やモデルケースとしての役割を一層発揮することが出来るようになるとみられる。

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