国務院が発表した「当今の金融による経済発展の促進に関する若干の意見」の30条では、香港の非金融企業による人民元建て債券の発行を認め、香港における人民元業務の発展を支援し、周辺国・地域との貿易における人民元の決済規模を拡大するとの政府方針が明確に打ち出されている。香港にとっては、こうした政策は、中国政府が香港の人民元域外市場の中心への発展を支援するとともに、これまでシンガポール、香港、韓国などにあった人民元域外市場を香港に集約することを意味している。また未来の域外人民元市場の登場により、従来の決済不能だった人民元建て金融派生商品(デリバティブ)は姿を消し、人民元建て債券が新たに加わって同市場は一層厚みを増すことが予想される。
また一方で、資金源の豊富さや人民元の監督管理の利便性、より広い金融サービスの対象範囲などからみて、上海も香港にはない強みを備えており、人民元決済センターを設立するのに大変ふさわしい場所だといえる。上海と香港が連携する形で協力を強化するのが最も適切だ。香港と上海は人民元決済に関して、矛盾や排除の関係にあるのではなく、合理的かつ有効に業務を分担して協力し合う関係にあるべきだ。上海は国際金融センターとなる上で抱える制約や不足点を現実として十分に認識し、人民元の国際化プロセスが加速する状況において、人民元経済圏の成立過程で占める位置や役割、将来の発展戦略などを重点的に研究し、人民元の国際化決済センターや取引センターになるべく積極的に動く必要がある。
「人民網日本語版」2009年1月12日
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