さらなる投入が必要な農村貧困地区
中国政府の新農村建設の総体的目標では、2015年までに90%以上の村道路とすべての鎮道路で国が定める開通・舗装基準を達成し、80%以上の村で情報化を実現し、ケーブルテレビ網を100%カバーし、ほとんどの村とすべての鎮で、稲わらのガス化、メタンガス、炭層ガス、天然ガス、ソーラーエネルギー、風力エネルギーなど、さまざまな形の生活エネルギー源の供給を実現し、農村の環境汚染防止について基本的に国の基準を達成することになっている。
国家発展改革委員会産業研究所の研究によると、これらの目標を達成するためには、中国政府は3兆元余を投入する必要があるという。この研究報告は、新農村建設における資金難は普遍的な問題だが、貧しい山間地帯では特にそれが顕著だとしている。すでに建設を終えた投資プロジェクトを除いて、2015年までに新農村建設の目標を達成するには、全国の都市近郊では農民1人当たり約1700元の投資が必要だが、貧困地区では4900元が必要となる。
中央党校経済学部研究員の孫小蘭氏は、貧困地区の新農村建設における資金不足には主に2つの原因があるという。第1に、政府の財政支援と投資の限界だ。政府は財政支援の度合いをずっと増大してきてはいるものの、必要とされる金額にはいまだに追いついていない。しかも、市場経済を打ち立てる過程で、政府が投資する方向性は市場の流れが向かう方へと同調し、政府の投資は主に東南部の沿海地区に集中した。第2に、貧困地区そのものの能力の蓄積が不十分であることだ。貧困地区は自然条件や地の利、社会経済の基盤において発展地域には及ばず、全国の貧困人口は主に農村に集中している。農村では貧困人口が多く、収入が低く、何とか生活を維持できる程度の水準のところもあれば、それ以下のところもある。しかも、エンゲル係数が高めで農民の貯蓄能力を制約しており、民間投資は自ずと抑制されることになる。
嵐県の新農村建設はまさにこうした観点を検証するものである。05年10月に中央が新農村建設を提起したとき、嵐県政府はすでに新農村建設の計画をスタートさせたが、問題は資金で、08年になってやっと必要資金の一部を調達することができたのである。
劉愛民氏によると、新農村建設では政府からの投入以外、農民からの投入はほぼゼロに等しいという。ほとんどの農民が生活と農業生産の保障だけで精一杯だからだ。
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