同調査が示した見方は、2000年に発表された論文「経済衰退は健康にプラスかマイナスか」の主張と期せずして一致する。同論文の作者であるノースカロライナ大学のクリストファー・ルーム教授は、1972年から1991年にかけての死亡率データを元に、経済状況との関連を調べた。すると失業率が1ポイント上がるごとに、死亡率が0.5%低下することが明らかになった
経済衰退期には自殺率が平均2%上昇し、ガンによる死亡率が23%上昇するが、心臓病と交通事故による死亡者数がどれくらい減少したかを知れば、これらの上昇は大きな問題ではなくなる。経済衰退期にはより健康的な食生活を送るようになり、自動車を運転することもだんだんと減ってくる。これは経済的要因にもよるが、失業すれば朝早起きする必要がなくなるということも、もう一つの要因として挙げられる。あるデータによれば、失業率が1ポイント上昇するごとに、交通事故による死亡者数は2.4%減少する。ルーム教授は別の論文「困難な時期の健康的な生活」の中で、1990年代の経済危機の頃、米国国民の喫煙量は減り、特にチェーンスモーカーが5%減ったことを取り上げている。
カリフォルニア大学バークレー校の公共健康学が専門のある教授によると、経済衰退が必ず人々にとってプラスになると簡単に言うことはできないが、経済衰退によって人々は確実に、より健康的な生活スタイルを選ぶようになる。同教授は「人々は仕事を失うことを恐れ、行動を慎むようになり、アルコール摂取量が減り、車の運転が慎重になり、過ちを犯すことが減り、生計の道の確保に躍起になる」と話す。
経済衰退を喜ぶわけではないが、経済衰退がわれわれにもたらすものは憂いや落胆ばかりではない。人生は十中八九思い通りにならないものだが、経済繁栄期には金儲けと昇進を達成したいと思い、経済低迷期には健康と心からの安らぎが欲しいと願うようになる。
「人民網日本語版」2009年3月20日
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