大陸部住民の消費力が高まり、ぜいたく品市場には発展への大きな潜在力が秘められている。ある機関の予測によると、大陸部富裕層の2015年の非必需品の消費額は1669億ドルに上り、アジア太平洋地域最大のブランド市場である日本を追い抜くことが予想される。「証券時報」が伝えた。
客観的にみて、消費には経済発展レベルが体現される。こうした視点にもとづいてながめると、中国人のぜいたく品消費力が伝統的なぜいたく品消費大国である日本を追い抜くということは、少なくとも中国人が金をもつようになったことを示している。中国人はこのことを誇ってよい。だがぜいたく品消費大国であることと経済大国であること、国民が豊かであることとを単純にイコールで結ぶのは適切ではない。多くの中国人がぜいたく品消費の風潮に乗らなかったり、「豊かになっていないのに、ぜいたく品に手を出す」などとマイナス評価を下したりしているのももっともなことだ。
世界のトップブランドの8割以上が中国市場に進出している。各ブランドが、中国人にぜいたく品消費の習慣をつけようとしたり、「豊かでないのにぜいたく品に手を出す」この危うい市場をねらい打ちしようとしたりして、中国市場に進出したとは考えられない。そうではなく、トップブランドが巨費を投じて「中原に鹿を追」おうとしているのは、詳細な市場調査に基づく行為であり、中国人のぜいたく品消費力の高まりが背後にある真の駆動力だといえる。実際、香港のハイエンドぜいたく品市場には、かねてより惜しげもなく金を使う大陸部消費者の姿があったし、ニューヨークやパリなどの世界トップレベルのぜいたく品販売店を訪れる中国人も多い。中国の富裕層にとって、世界トップレベルのぜいたく品はすでに手の届くものであり、収入のうちで十分に収まる通常の消費品になっている。「豊かでないのにぜいたく品に手を出す」ということとは全く違う。だが一般市民の平均所得水準は富裕層と大きくかけ離れており、トップレベルぜいたく品の価格は、所得が平均レベルの人が一生かかっても買えないほどの金額だ。さらに低所得層は基本的な生活を維持するのに精一杯であること、経済的要因により学校に通えない児童が大勢いることなどを考えあわせると、トップレベルブランド品の大量流入をみて、人々が「豊かでないのにぜいたく品に手を出す」といった感想を抱くのももっともなことだといえる。
今考えなくてはならないのは、当今の経済発展情勢と所得分配モデルだ。平均レベルの所得層の生活は中国経済の急速な発展プロセスと同ペースでは発展しておらず、それどころか頂上と底辺の格差がますます拡大するダンベル型の所得分配構造が徐々に形成されている。このような経済発展・分配モデルは健全で調和の取れたものとは言い難い。この点からいっても、先に豊かになった人が後から豊かになる人につながらず、所得分配の恩恵が中・低所得層に行き渡らないということが、国内のぜいたく品消費に対する非難に含まれる真の問題点なのだといえる。
「人民網日本語版」2009年8月27日 |