第三に、中国は経済を転換する段階にあり、なお計画経済時代の痕跡を残していながら、さまざまな市場化の方式を採用している。金融システム改革ではシステムの一部が急速に変化し、一部はゆっくりと変化し、市場化した部分と市場化していない部分とが併存することにより、マクロ経済が全体としてバランスを欠いたものになっている。アジア金融危機はこうしたアンバランスが招いた悪しき結果だ。こうした時には政策の連続性が最も重要であり、改革の成果は政策をどのように設定するかに左右される。
このほか、中国が国際金融システムに組み込まれるには、まず国内で金融の市場化を達成することが必要だ。現在、多くの産業では個人投資が開放されておらず、レートや金利がまだ完全には市場化されていない。こうしたゆがみのある市場化されていない金融システムでは資産バブルが容易に発生する。今回も通貨政策を緩めすぎ、資本項目を開放しすぎれば、経済的な資産価格が必ずや大幅に減少する。
またミクロ観点に基づく統治構造や金融ツールを導入することが、必ずしもマクロ金融・経済に安定的な作用をもたらすとは限らない。このたびの金融危機発生後、中欧や東欧の諸国から大量の外国資本が逃避し、国内資金チェーンの分断を招き、大きな損失を出した。これほど大きなマイナス影響が出た原因として、ハンガリー、チェコ、ポーランドなどの国が外資を大量に導入し、多くの銀行で株式が海外の銀行に押さえられ、事実上海外銀行の支店になっていたことが挙げられる。当時、これらの国々は戦略資本導入の観点から動いたとみられるが、このような禍根を残すとは誰も予想していなかった。中国は今、資産の証券化の導入といった先進的なマクロ観点に基づく金融統治や金融ツールへの再評価を行う必要がある。資産証券化は確かに資金の流れを活発にする。だが中国では現在なお資金貸付規模が制限されており、証券化を導入すれば制限が不可能になり、資金貸付規模の拡大が不可避になるとみられる。マクロ経済状況が異なれば、金融ツールや金融統治の方法に対する判断や考察も異なったものになるのだ。
最後に、実体経済から遊離した各種の金融ツールの開発には警鐘を鳴らす必要がある。たとえばヘッジ手段として金融派生商品(デリバティブ)を発展させることは可能だが、「紙黄金」(現物を介さず帳簿上でのみ行う純金取引)などの実体経済と乖離した商品を発展させる必要があるかどうかはよく考えなければならない。
「人民網日本語版」2009年9月7日
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