フィリピンのマニラに本部を置くアジア開発銀行(ADB)が22日に発表した報告によると、中国やインドなどの経済大国が予想以上の回復を見せていることから、アジアの発展途上国全体の成長率は09年、3.9%に達する見込みだ。同銀行の4月の発表より0.5ポイント高い予測値となった。
アジア銀行の発表した「2009年アジア発展見通し更新版」によると、国際金融経済危機に対応するためにアジア各国政府が取った措置はすばやく効果的であり、アジア地域の金融システムへの大きなダメージは回避された。アジア地域の経済大国の回復は比較的速い。アジア開発銀行のチーフエコノミストを務める李鍾和(Jong-Wha Lee)氏は、「世界経済の環境は引き続き悪化しているが、アジアの発展途上国経済は、世界を経済低迷から回復させる役割を果たすことになるだろう」と語る。
同報告では、中国経済の今年通年の成長見通しが7.0%から8.2%へと引き上げられた。中国が打ち出した大規模な経済刺激策と適度に緩和された金融政策によって、中国経済に対する世界経済減速の影響がやわらげられたことが考慮された。報告によると、東アジアと南アジアの今年の成長率は4.4%と5.6%に達し、アジア地区回復の先頭に立つ。インドの経済成長率も6%と予想されている。このほかのアジア地区の成長率は比較的低い水準にとどまり、東南アジアの成長率は0.1%、中央アジアの成長率は0.5%となる見込みだ。同じくアジア開発銀行の調査対象となった太平洋諸島の成長率は2.8%とされた。
報告によると、アジアの発展途上国の経済成長率は2010年もさらに高まり、6.4%となる見込みだ。中国の2010年の成長率は8.9%とされた。李鍾和氏によると、中国経済が2010年、経済刺激策や国際経済の回復によって高成長を続ける見込みだ。だが国際経済の回復の勢いはそれほど強くなく、経済成長に対する輸出の貢献には限りがあると見られるため、経済成長の牽引力の中心は投資と消費となる。アジア経済の見通しは総体的に言って比較的楽観的だが、世界経済が長期的な衰退に入ったり、アジア諸国の政府が財政刺激を早期に縮小させたりした場合、アジア地区の経済が再び悪化する可能性もある。
「アジアの発展途上国は、貿易・資金・人員の動きの面での欧米先進国との不均衡を改善し、地域内の経済関係をより重視し、内需をいっそう拡大させ、外部からのリスクに耐える地区の能力を強め、アジア経済が急速で安定した発展を実現できるようにすべきだ」と李鍾和氏は呼びかけている。
「人民網日本語版」2009年9月23日 |