▽上海の文化的地位は向上するか?
ミッキーマウスやドナルドダックを代表的シンボルとするディズニーは、結局のところ、どのようなものなのか。
毛氏は「以前の私たちは常に外来文化の侵略をくい止めることを余儀なくされたが、現在は文化の面ではゆとりと自信を備えている。漢や唐の時代の文化が輝いていたのは、外来文化を大量に取り入れたことが原因だ。このことは中国の文化的版図の中で、上海が徐々に文化交流センターの地位を確立するであろうことを示している。上海にはこれまで長く心に残るような恒常的な文化資源がなかった。ディズニーはそうしたものになる可能性がある」と話す。
上海にとっては、1920年代から30年代にかけて確立した「中外文化交流センター」の地位を失ったことが、数年来、心の底に隠しておいた一種のコンプレックスだ。70年ほど前の上海は「東方のパリ」と呼ばれ、欧米文化が中国で最も早く上陸する場所だった。だが上海の商業的地位が爆発的に高まるのと反比例して、文化的な地位は低下していった。
ミッキーに上海の文化的地位向上という思い任務を担わせるのは、あまりにも楽観的な考え方だ。だがミッキーが上海への文化的な期待に関して、極めて大きな推進力となることは間違いない。上海社会科学院思想文化研究センターの花建主任によると、上海がディズニーを「嫁に迎える」ことは、中国文化の不断の成熟ぶりをありありと示している。1990年代以来、中国の文化産業は未熟な段階から成熟した段階へと至り、相対的な封鎖状態から段階的開放へのプロセスを経てきた。2008年には上海の文化産業の売上高は3304億8千万元に達し、生産額は780億元を超えて、全国の約11%を占めた。昨年、上海を訪れた国内各地からの観光客はのべ1億1千万人、海外からの観光客はのべ640万人に上った。良好な食環境、住環境、交通環境、そして観光環境を擁する上海だが、大型の娯楽施設だけが欠けており、早急に導入する必要があり、また上海にはこうしたプロジェクトを十分に消化する能力が備わっている。上海はディズニーの経験を取り入れると同時に、中国文化の叡智と融合させ、上海の文化産業に豊富な管理の経験を積み上げることが可能だ。
上海ディズニーの建設は、上海地域や長江デルタ地域がより成熟した文化チェーンを形成するのにもプラスになる。ディズニーランドは毎年「三三制」と呼ばれるシステムを実施しており、3分の1を刷新し、3分の1を保留し、3分の1を淘汰している。ディズニー社が毎年、映画や書籍などのコンテンツで生み出す生産額は約80億ドル、ディズニーランド、インターネットメディア、派生商品などで生み出す生産額は約270億ドルで、関連製品や関連サービスの売上はこれよりさらに多い。こうした経験こそ、上海の発展に必要なものだ。こうした点を踏まえて、上海のディズニーランドは孤立した点としてあるのではなく、上海のアニメ映画制作やテーマパークといった産業チェーンの重要な構成要素となり、上海の独自設計、パーク管理、漫画・アニメ・ゲーム、映画放送などのプロジェクトと一体になって有機的な総合体を構成し、上海全体の産業効果を高めることのできる存在になると期待される。
実際、ディズニーに対する上海の期待は、経済的側面だけでなく、国際的文化交流プラットフォームの機能を確立し、ミッキーやドナルドの力を借りて、産業のグレードアップをはかり、文化センターとして復権することにより多く集まっている。
もちろん、これは容易なことではないが。
「人民網日本語版」2009年11月6日
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