(2)世界経済の安定役
中国政府は世界金融危機を背景にすばやく内需拡大、国民経済の安定した比較的速い成長維持という一連の計画を打ち出し、10大産業振興計画を代表とする産業政策に次々と取り組み、民生改善などの政策をいっそう強化し、世界金融危機の衝撃に積極的に対応、世界経済全体の回復をけん引した。
中国経済の成長率をゼロとすると、世界経済の成長率は-1.96%となり、昨年は中国の経済成長が世界経済の安定に約29%貢献したことになる。つまり、昨年の中国の経済成長が世界経済の下降幅を30%近く軽減したといえる。孫仲涛教授の分析によると、中国経済の急回復と景気回復がこのまま続くという予測が中国の大口商品の輸入増加やサービス業の輸入の安定した増加につながり、関連経済体に外需を生み出し、経済の安定と回復を促進している。
バークレーズ社のジョン・ヴァーリー副総裁によると、世界の財政刺激政策の主役である中国の4兆元経済刺激計画は、中国の貿易と投資パートナーに多くの市場チャンスと大きな発展の可能性を創造した。本国経済が昨年逆風の中で成長を実現しただけでなく、中国自身が金融危機への対応においてグローバル範囲で大国の責任を果たし、世界の他の地域の危機対応に非常に重要な役割を果たした。
中国の豊かな外貨準備は、流動性不足が深刻な世界の銀行業と企業界の新たな希望となった。人民元の為替レートは合理的でバランスの取れた水準で基本的に安定し、国際金融や通貨市場の混乱回避に役立った。中国経済の成長により、世界の資源の需要もある程度の水準を維持し、資源性製品の価格も暴落することなく、見通しは明るくなっているといわれる。
昨年下半期は輸出の強い反発と消費が著しく増加したことから、中国の経済を引っ張る投資・消費・輸出の3大馬力が合理的に分配された。このことが、中国経済と世界経済の今年の継続的成長につながると期待されている
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