中国の自主ブランド車メーカーである吉利汽車が28日、18億ドルでボルボを買収することで合意に達し、世界で注目を集めている。英『フィナンシャル・タイムズ』は評論家の「買収取引は中国の高級車市場の空白を埋める」という文章を掲載した。以下はその一部である。
世界の自動車ブランドで合併買収に成功したケースは指折り数えるほどしかなく、ゼネラルモーターズとサーブ、ダイムラーとクライスラー、フォードとボルボ、いずれも自動車大手の合併では買い手が後悔していることが多い。しかし、28日に合意に達した吉利によるボルボ買収は別の結果となる可能性がある。今回の買収取引は自動車業界の合併買収の歴史に刻まれるだろう。少なくとも、今回の取引で吉利は誰もが知る自動車ブランドとなった。18億ドルという取引額もアジアが世界の自動車産業をリードするかもしれないという重大な変化を示している。
中国は世界最大の自動車市場であり、買収を通じ、中国にも世界で名高い自動車ブランドを有することになった。また、中国政府が各種の資源を集め世界レベルの自動車生産基地を建設する決心と勇気を見くびってはいけない。
しかし、取引が意味するものはこれだけに止まらない。吉利は低価格車の生産で名が知られているが、吉利にも中国のその他の自動車メーカーと共通する多くの「悩み」がある。それは世界的な高級車ブランドやそれらの生産に必要な技術、開発能力、質、サービス体制が欠けていることだ。しかし今回の吉利によるボルボ買収で、中国は世界で名高い中高級車ブランドを獲得することができた。また、吉利にはフォードができなかった「ボルボの黒字転換」という課題を完成するができると見られている。
中国市場でボルボが利益を上げることは、買収計画の中で最も実現しやすい目標かもしれない。このような発展し続ける巨大な市場において、ボルボは昨年、2万2000台を売り上げ、そのシェアはまだ小さい。中国市場の購買力が日に日に高まっており、それに伴いボルボのような高級車ブランドは今後数年で大きな発展を遂げることが期待される。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年3月31日