米国が人民元の切り上げを迫る最も重要な目的は、中国に大量の米国債を買わせ続けて米国に「低利息の資本」を送り込ませることにある。さもなければ米国は資金不足に陥りながら、債務消費型の経済体を継続できないばかりか、肝心なのは覇権を維持するための巨額の軍事費に支障がきたし、米国の世界130カ国の駐留軍と752カ所の軍事施設(イラク戦争前のデータ)に直接影響が出て、覇権の基盤が揺らいでしまう。このため米国は機を見て中国の資本を要求するのが第一なのだ。
米国は人民元の為替相場を戦略の切り札とし、すでにステップも計画も立てている。一方の中国はというと、今のところ受身で対応しており、長期戦略を欠いている。中国の官僚の強い異議も中国の黒字と米国の赤字がどう発生したかを説明するに留まっている。
中国は今回の「為替相場争い」で露呈した次の問題を重視しなければならない。(1)中国のアンバランスな経済構造の現状調整や経済構造転換が差し迫った状態にあること。(2)貿易黒字の構造を見極め、輸出依存型の成長パターンを転換し、いち早く「下請型経済」から脱出すること。(3)人民元の為替相場の弾力性を適度に増し、為替相場争いの対応力を高めること。(4)「黒字放棄」による輸入増加によって米国人が納得すると期待しないこと。(5)為替相場争いや貿易争いの長期戦の準備を整えておくこと。(6)米国との利益共有策は中国の戦略的勃興に影響しないか?周辺諸国と構築した利益共同体は原則的な是非問題を前にどれだけ耐えられるか?これらはいずれも未知数だ。(作者:CCTV証券情報チャネル編集長、財経評論家)
「人民網日本語版」2010年4月14日