政府の公用車と言えば、多くの人がアウディやパサート、ビュイック、サンタナなどを思い浮かべるだろう。確かに、街中を走る公用車の多くがこれらのブランドだ。政府の公用車調達先リストには数十ブランドが登録されているのに、これらのブランドが特に人気を集めるのはなぜだろうか。その背後にはどういったいきさつや消費文化があるのか。今年、浙江省が新たな政府の公用車調達を開始するのに伴い、記者が探ってみた。
アウディは高級公用車の代名詞
杭州のある省レベル機関の幹部である陳さんは、アウディに対し高級公用車の代名詞というイメージを持っている。「私たちは副庁レベルの機関だが、保有する10台のうち、5台がアウディだ」と、陳さんは話す。
浙江省には100以上の庁レベル、局レベルの機関があり、どの機関も公用車として数台のアウディを保有している。関係者によると、ここ数年、浙江省政府が調達した豪華公用車のうち、少なくとも300台はアウディだという。
アウディは中国でパサートと同じくらい有名だが、いずれも公用車不足の時代に歴史的チャンスに恵まれた。1980年代末から90年代初め、公用車の高級なイメージを表す国産車はアウディ100だけだった。組立てにしても順調で、公用車にもっともふさわしいとされた。
長期にわたり、「高級公用車」という烙印がアウディに押された。こういった影響力により、一種の明確な消費指向が形成された。誰かが勝手に決めたわけではないが、習わしが広まって一般に認められ、人々の選択を自然と左右することになった。
2009年8月7日、国産のアウディA6シリーズの販売台数は50万台を突破した。また2008年以降、アウディの中国での生産・販売台数は毎年10万台を超え、2015年には20万台に達すると予想されている。
マーケティングの専門家で、奇正沐古国際諮問機構の会長である孔繁任氏は、アウディの共感度は確かに先入観において優位性があるが、その重々しい外観、有力な技術と全体の販売位置づけはいずれも政府と公務員のイメージにふさわしい。特にドイツ車に一貫している控えめで穏健なブランドイメージと文化的特徴は政府や公務員の共感を得やすい。したがって、アウディは使用ニーズを満たすだけでなく、一種の文化のしるしで、政府が熟知し受け入れやすい独特な商品であるといえる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年5月19日