東京のおしゃれな女性が手にして歩く色とりどりの草編みの手提袋。ハワイの住民や観光客がかぶる風情ある麦わら帽子。英国の家庭で衣類をしまうのに使われる草編みの収納箱。余り知られていないことだが、植物で編まれたこれらの工芸品の多くは、青島の北西部にある渤海岸の小都市・平度市新河鎮で作られている。この地で生産される工芸品はすべて輸出向けに作られているため、海外では知名度を誇るこの地も、中国国内ではほとんど知られていない。だが近年、「青島市化工工業未来集合区」に指定されたことで、この地への国内からの注目も高まりつつある。青島晩報が伝えた。
平度市の草編み細工はすでに150年の歴史を持つ。近年では、冬の休耕期を利用した加工品の生産が80年代にスタート。90年代後期からこの市場は徐々に発展し、新河鎮の草編み工業はますますさかんとなっている。
平度市新河鎮の人口は3万人足らず。そのうち80%が草編み工業を営み、60歳以上の老人はほとんど100%がこの手工芸品の生産に従事している。新河鎮の道を歩いていると、草編みの情景をあちらこちらに見ることができる。この工業の最大の受益者はこの地の高齢者。新河鎮の60歳以上の高齢者はいずれも40年から50年の生産経験を持っており、家でテレビを見ながらでも手提げ袋や帽子や収納箱を編み、年間5000元から6000元の収入を手軽に得ることができる。得られた収入は、自分で使うには十分で、孫のためにも使うことができると重宝されている。
この地で作られた手提袋には、日本では6000円から4万円の値がつき、その価格はルイヴィトンの3分の2ほどにも達するという。天然素材や手工芸品が喜ばれるのは主に海外であることから、これらの工芸品は国内向けにはほとんど売られていない。国際的に注目を集めつつある新河鎮の草編み工芸だが、その精髄は同地の伝統工芸にある。
「人民網日本語版」2010年7月28日