記者 環境税は税体系で、税目ではないため、環境税の徴収で重複徴収の問題が生じる可能性がある。たとえば炭素税の徴収も注目されている。環境税の徴収後も炭素税を徴収するのか。
蘇明氏 環境税には炭素税も含まれるため、環境税の範囲は炭素税より広い。環境税の多くの税目を一斉に徴収し始めるというわけではなく、まずは環境税の最も重要な税目から一歩ずつ開始する。環境税を徴収すれば、炭素税を徴収しないというわけではない。
記者 環境税の徴収は何年も前に提案されたが、まだ実施されていない。実施の難点はどこか。
蘇明氏 一つの税目を設ける際、言うのは簡単だが実行するのは難しい。税目や税収政策の調整は、政府や企業、消費者、個人など各方面の利益の調整にも関わる。実際、各方面の利益の調整、利益関係の調整は最も難しく、そのほかに環境税は一部業界の発展、さらには経済成長の水準、就業にも関わり、マクロ、ミクロ、企業、個人からいずれも程度は異なるが影響を受ける。そのため、税収政策の調整は客観的に一定の難度に直面している。
記者 環境税を徴収する場合、どの産業の企業への影響が大きいか。
蘇明氏 簡単に言えば、環境税の徴収は汚染の排出が多い業種、エネルギー消費が比較的多い業種への影響が大きい。たとえば鋼鉄、化学工業、石油化工、セメントなど、これらの業種への影響は比較的大きい。影響の大小について、重要なのは税率がどのように設定されているかで、税率の高さで各業種への影響も異なる。そのため、学者としての視点から税徴収の実行可能性について言えば、環境税にしても炭素税にしても、開始時はまず低い税率で徴収し、その後に徐々に調整するべきである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年8月10日