国務院常務会議は昨年7月、「文化産業振興計画」を原則的に採択した。「計画」では、デジタル分野やアニメなどの新興メディアの発展加速とともに、業界参入基準の引き下げが強調された。これによって中国の文化産業の創造力と生産力の強化が期待される。
①アニメ産業を重視
銀河証券メディアアナリストの許耀文氏は、「『計画』の目玉はデジタル分野とアニメ産業の重視であり、関連企業の上場申請・資金調達にとっては朗報」との見方を示す。すでに江通動漫などの新興メディア企業がGEM市場への上場を計画しているという。中国動画学会副会長の孫立軍教授も、「『計画』は、04年にアニメ産業の発展支援を確認して以来の同産業に関する一段階進んだ発展支援政策であると言え、実行方法を検討し、この産業の重要性をさらに強調している。もう一方で、『計画』はガイダンス的なマクロ政策であり、各地域がより執行力のある政策を実行するよう指導することができる」と指摘。「力のある企業を支援するという理念の下で、アニメ関連企業の上場・資金調達、産業チェーンの整合がさらに進み、今後2、3年のうちにいくつかの大型企業が現れるだろう」としている。
②放送・インターネットの発展
許耀文氏はまた、「すでに上場している企業の中では出版業界の評価が比較的合理的であり、新たな目玉は放送・インターネット」と指摘する。中央宣伝部文化体制改革弁公室の高書生副主任も以前、「文化産業を行うにはテレビ、携帯電話、パソコンのスクリーンに注目しなければならない」と指摘した。これと『モバイルマルチメディアやインターネット、携帯電話でのテレビ放送といった新興文化業態を積極的に発展させ、文化産業の高度化を推進する』という重要任務とを符合させる。したがって専門家は「放送・インターネットなどの新興メディア産業も今回の振興計画の最大の受益者である」としている。
③参入基準の引き下げ
会議ではまた、各任務を確実に実行するために、文化体制改革を深め、社会全体の文化創造力を呼び起こすことを強調。具体的にいうと、業界の参入基準を引き下げ、社会資本と外資を政策で認められている分野に積極的に導入し、国有文化企業の株式制改革に参与させるなど、公有制を主体とし多様な所有制度で共同発展する文化産業構造の形成に努める。これに対し専門家は、文化産業発展の最大の問題は体制にある指摘する。投資家や企業にとってみれば、「文化産業振興計画」という原則的な文書の公布は、思想及び行動の上での準備を意味し、実施細則が公布されたら直ちに市場でイニシアチブを取れるようにするものである。東方証券アナリストの張小噶氏は、「実施細則が公布されれば、まずは出版・放送関連企業の地域を越えた再編が期待できるだろう」と話す。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年8月17日